第四章 前編

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 次の日、黒豆団の拠点で今後の作戦を考えようと集まっていると、すぐさまサカキが意見を出した。 「思ったんだけどさ、今って大チャンスじゃない?レッドはいない、水色もあの状態。襲撃するなら今だと思うんだけど」  メイが困惑したような表情で答える。 「サカキ……あんたの心はどうなってるの……。ヒーローの心配をしていたと思ったら今度はヒーローを襲うのね」 「それとこれとは別だろ。俺は黒豆団のことを第一に考えているから」 「まあ良いだけどさ。その気持ちの切り替え尊敬するわ」  ウツギがそれならと作戦案の提示を始めた。  ヒーローでも悪党でも、人に寄り添う性格がサカキの良いところなのだろう。  そうアヤは思いながら作戦会議に耳を傾けていた。  今回は善戦できるだろうか。  その日の午後、思い立ったら即行動ポリシーのもと、いつも通り自転車に乗り戦いの場へ向かう。  いつもならエキストラを雇い襲う演技をすることでヒーローをおびき寄せるのだが、急なことなので準備がつかなかった。  そこで監視カメラが多くある公園で、元に直せる範囲で遊具を壊してみたり、水を出して公園を水浸しにするなど多少の迷惑行為を働いていた。  本当にやり過ぎてしまうと器物損害などで逮捕される可能性があるということで抑えているらしい。  こんな子供だましな悪事でヒーローは来るのだろうかと思っていた懸念に反して、軽快なBGMが遠くから聞こえてきた。  アヤが本当にくるんだ……という驚きの表情を浮かべていると、  な、来るだろ?というドヤ顔のサカキと目が合った。  これが黒豆団のとヒーローの関係性というやつなのだろうか。
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