小説_題未決定.txt

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 親愛なる作者様、今どこにいらっしゃいますか。  ああもう、小説の冒頭という輝かしい瞬間なのに、こんなことしか言えないなんて!  どうも、読者様たち。こんにちは。せっかく読みに来てくれたのに、なにもなくってごめんなさい。でもこれ、俺のせいじゃないんです。  俺の名前は御門ケン。十七歳。  いくつかの「小説の書き方」系の本では、こうやって主人公に地の文で自己紹介をさせるのは、あまり良い手ではないとされているよな。なぜなら、不自然だから。  そりゃあそうだ、急に頭の中で、どこかの誰かに向かって自己紹介し始める人はあんまりいない。 これをやると、主人公自身が「これは物語である」ということを意識していることになるのだ。俺だってそれくらい、わかっているんだよ。  だが今はごらんの通りの非常事態だから、許してほしい。 なんにもないんだから、「周囲の状況とともに、何らかの行動を通して主人公のことを説明」するという順当な手が使えないんだ。 俺は自分が物語の主人公だって、わかっちゃってるしな。   なんでこんなに、なにもないのかって?  それは、この小説の作者が主人公の名前と年齢をひとまず考えて、小説を書くためのテキストファイルをとりあえず作るだけ作って・・・・・・そしてどこかに行ってしまったからだ。  じゃあなんで、こんな未完成にもほどがある小説、いや小説ともいえない代物が、「小説投稿サイト エブリスタ」にアップされているのかって?  それには少し訳があるから、ゆっくり聞いて、いや、読んでほしい。
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