確執

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「お前も来てたんだ?」 その男性は私達のテーブルの横に立つと、 成瀬に目線を向けている その目線が、見下ろす形になるからかもしれないが、 見下しているような雰囲気を感じてしまう 「和真さんも、来てたんですね?」 成瀬はその男性の名前を、“カズマ”と呼んだ 少なくとも、今の段階では友達同士とは思えない 「俺の方は、春学の高等部の時の部活の同窓会で」 その和真と言う人物の言っている春学は、 春山学院の事だろう 幼稚園から大学迄が一環して有る、エスカレーター式の学校 確か、中学と高校が男子校だったような ワゴンを押しながらウェイターの男性が、彼に近付いて来る 「失礼します。 こちら――」 そう言い切る前に、そのウェイターが手にしようとしていたワインボトルを、 和真は奪い取った そして、成瀬の前にあった空のワイングラスに、 それを注ぐ それは真っ赤で、 何故か、その赤い色がとても怖く感じた
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