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「これ、俺の奢りだから。
お前、飲めるだろ?」
和真はそう言って笑うが、
その笑いがなんとなく嘲笑いに感じてしまう
気のせいだろうか?
「すみません。
今日、車で来ていて、お酒はちょっと」
そう断る成瀬も、凄くその和真に気を使っているみたいで、
変な感じ
コウジロウさんや他の仕事の関係の人達にも
成瀬はそれなりに気を使ったり、
愛想を振り撒いているが、
今の成瀬のそれは、それとは違う
「そう?
それは残念」
そう言って、和真はそのワインボトルを手にしたままゆっくりと傾けた
そして、ゆっくりと輪を描くように動かし、
私達のテーブルの上の料理に赤いワインを掛けて行く
ドボドボ、と
なんて事すんのよ!!
と、心の中で叫ぶが、この場の空気に気圧されて、言葉が出ない
成瀬は何も言わずに、無表情でその料理を見ている
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