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「勝ち負けとかねぇだろっ」
「なんで。ゲームだからあるでしょ」
「え?」
当然のように言われて、ちふゆは目を丸くした。
そうなのだろうか? だが、指摘されてみればそうなのかもしれない。
頭の中に疑問符を散らしながらちふゆが考え込んでいると、青藍がニヤニヤと笑いながらちふゆの唇にちゅっとキスを落としてきた。
「さ~て、負けたちーにはなにしてもらおうかなぁ?」
「い、いまのはノーカンだっ」
「なんで」
「おまえがポッキー全部食ったことチャラにしてやるから、ノーカンっ」
「え~、ずるい」
「ずるくないっ」
ちふゆがそう言い張ると、青藍が「はいはい」と肩を竦めて、ちふゆの頭をポンポン撫でてきた。完全に弟を甘やかすお兄ちゃんモードだ。
そんな青藍へと、ちふゆは声高に宣言した。
「もう一回勝負するぞ!」
「いいけど……もう一回ポッキーゲームすんの?」
問われて、頷きかけたちふゆはハタと思いとどまった。
ポッキーゲームの勝敗がいまいちよくわからない。
だから他のゲームで……と考えかけて、ひとつの単語に思い至った。
それはポッキーからの連想で、般若の口から出てきた言葉だった。
「にょーどーぶじーだ!」
「…………は? ちー、なんだって?」
「次はにょーどーぶじーで勝負だ!」
「…………」
「オレ、にょーどーぶじーって食ったことないからわかんないけど、性悪が知ってるってことはここにあるんだろ? 誰に頼めばいい? 青藍、おまえ持ってんの?」
「…………ちふゆ」
突然青藍に手首を掴まれて、そのままぐいぐい引っ張られてちふゆは転びそうになった。
「い、いてっ、バカっ、バカ青藍っ、止まれって」
文句を投げても青藍は力をゆるめずに、大股でベッドまで行き、ちふゆの体をそこへドンと突き飛ばした。
ちふゆはお尻からバフっとマットレスに倒れこんでしまう。
「な、なにすんだよっ」
咄嗟に男を睨みつけると、青藍が着物の前を開けながらベッドに乗り上げてくるところだった。
「俺おまえのこと、すっごい可愛いって思ってるけどさ、ちー。おまえの天然、あんまり放置しちゃダメだと思うんだよね」
「天然ってなんだよ。って、おい、バカっ」
ベッドに押し倒され、あらぬところをまさぐられて、ちふゆはなぜ急に青藍のそういうスイッチが入ったのかわからずに困惑した。
男娼の色香を開放した青藍が、牡っぽい顔で笑った。
「じゃあ、ちふゆ。尿道ブジーで勝負な」
ちふゆは、嫌な予感に背筋を震わせた。
そしてその予感は、見事に的中したのだった。
END
ポッキーの日、遅刻しましたが楽しく書かせてもらいました!
ありがとうございました!!(夕凪)
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