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おまけ(漆黒×梓)  いつものタバコの代わりに、慣れない甘い菓子を口に突っ込んだまま、漆黒は顎髭をざりざりと掻いた。 「梓~?」  しびれを切らして恋人を呼ぶと、漆黒の目の前で梓は両手で顔を覆って悶えていた。 「ちょ、ちょっと待ってください」  頬を真っ赤にした彼が、指の隙間から漆黒を見て、またじたばたと体をよじる。 「待つのは待つが、チョコが溶けるぞ」  事実、口に入れている部分のチョコは溶け、ビスケット部分が覗いている。  ポッキーゲームをしたいと言い出したのは梓の方なのに、そこまで恥ずかしがられるとなんだかこっちまで照れてしまう。  一旦ポッキーを口から出して、漆黒はベッドに胡坐をかいたまま首を傾げた。 「なにがそんなに恥ずかしいんだよ?」 「だ、だって……」  梓が癖のない黒髪をさらりと揺らして、ようやく顔を覆っていた手を外した。 「漆黒さん、いつもタバコを喫ってるから……」 「喫ってるから?」 「な、なんか、口元、意識しちゃったら、恥ずかしくなって……」 「うん?」  意味がよくわからなくて語尾を跳ね上げると、梓の子犬めいた黒目勝ちの瞳が漆黒を映して潤んだ。 「ポッキーゲームしちゃったら、漆黒さんが、タバコ喫うたびに、き、キスしたなぁって思い出しちゃいそうで……」    ぼぼぼっと顔を火照らせながら、梓がものすごく可愛いことを言った。  こっちが悶えそうだ、と思いながら漆黒は再びポッキーを咥え、梓の両の手首を左右の手でそれぞれ握った。 「あずさ」  ポッキーを折らないように気を付けながら、不自由な口で梓を呼ぶと、梓が眉をくしゃりと寄せた。 「ほら」  軽く顎を動かして促す。  漆黒に手を捕らえられているため顔を隠すこともできずに、梓は恥ずかしそうな表情のままで、そろりそろりと近づいてきた。
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