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悪夢を見て目が覚めた。体中が真っ黒になってボロボロと崩れていく夢だった。ふと見ると、手がしっかりと黒ずんでいる。どうやら夢ではないらしい。もちろん驚く気持ちはあるのだが、身体がついてこない。異常なだるさでベッドから起き上がることもできかった。身体の中がからっぽになってしまったようで、まるで力の入れ方がわからない。
夢の内容を思い出そうとしたが、もうほとんど覚えていない。
つけっぱなしのテレビからは、月曜日の天気を知らせるが聴こえてくる。また二日ほど眠ってしまったようだ。
恐ろしいほどの気だるさと脱力感でおれはしばらく動けなかった。
ベッド上に死体のように転がったままでいると、かすかに電話の呼び出し音が聴こえてきた。しばらく鳴っていたのか今しがた鳴り出したのかそれすらも分からない。ただ、この電話には出ないと行けないような気がした。
這いずるようにベッドから降り、死にかけの芋虫のように電話に向かった。やはり立ち上がる力はなく、電話線を引っ張って本体ごと引きずり倒すのが限界だった。衝撃で外れた受話器に耳を当てると、あの声がした。
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