1 6月の限定パフェ

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それから数日が経ち、部活の練習をしていると、マネージャーの恵麻にちょいちょいと手招きされた。 「何? 恵麻?」 「きっと気づいていないでしょ、凪。」 恵麻はニヤニヤと私を突く。 「何?」 「来てるよ、天野くん。」 「えっ?」 恵麻に促された方向に視線を投げると、運動場のフェンスの外の目立たない位置に、智風が立っていた。まったく気づかなかった。 「凪の練習、見に来たのかな? らぶらぶー。」 らぶらぶーって……。 私は苦笑しながら、智風の方に向かった。 「智風、どうしたの? 何か用事?」 智風はちょっと驚いたように私を見ていた。 「ごめん。練習の邪魔にならないように、こっそり見てたつもりだったのに、見つかっちゃった。」 「恵麻が教えてくれたの。」 「そっか……。」 智風が決まり悪そうに鼻の頭を人差し指でひっかいた。 「凪とは授業も1コマしか一緒じゃないし、昼も必ず一緒に食べられるわけじゃない。 大学の外でデートもなかなかできないし、そもそも凪はバイトで毎日忙しいだろ?」 「うん。」 「凪と会うチャンス、部活終わりくらいしかないからさ、ついでに一生懸命陸上に取り組む凪の姿も見られるし、いいかなって。」 「別に会うチャンス、作らなくてもよくない?」 契約の恋人なんだからという言葉は一応飲み込んだ。 「恋人なんだから会いたいし。」 涼しげな顔してそんなことを言う智風に、カッコ契約のカッコ閉じ、と心の中でツッコミを入れた。 「今日、自転車で来たんだけど、一緒に帰ってもいい?」 智風ににっこりとそう告げられる。
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