20人が本棚に入れています
本棚に追加
私が自転車で通っているから、わざわざ自分も自転車で来たの?と驚いてしまう。
智風の家がどの辺かは知らないけど、普段は自転車で通っているとは聞いていない。
「でも、智風の家と方向がまるで違ったら、智風が帰るのがしんどくなるよ?」
「まあね。でも、凪と一緒に過ごしたいなって思ってさ。ダメ?」
どうして契約上の恋人なのにそこまで?とは思ったけど、少し考えて思いつく。
確かに私と智風が付き合ってるって噂は流れているらしいけど、一緒に過ごしている様子がないとなれば、デマだったってことになるかもしれない。
そうなれば、智風がフリーならばと狙って近づく女子が増えて、智風の面倒が増えるのかもしれない。
それよりは、私と過ごすところを目撃してもらって、噂は本当だと周りに思って欲しいのかもしれない。
私だって弟の家庭教師を引き受けてもらうというメリットがあって契約に乗ったのだから、智風の目的を果たすため、協力しないとダメだよね。
「わかった。ちなみに、智風の家ってどの辺?」
智風があげてくれた町名は、この辺に土地勘がない私にはピンとこない。
最寄りの駅は私の家の最寄りとは違う沿線。
やっぱりお互いの家同士は遠いのでは?
智風がスマホの地図アプリで、この辺と示してくれたところを見てみる。
「あ。」
直線距離にすると、意外と近いかも。
「沿線が違っても道で繋ぐと近いって事もあるんだね。」
私は感心してそう言い、一緒に帰ることを承諾した。
最初のコメントを投稿しよう!