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「……あ? か、彼氏??」
マサさんがやや大きい声でそんなことを言ってしまったものだから、店内の常連のおじちゃんたちも反応する。
「凪ちゃん、彼氏いたんか?」
「お、ずいぶん……なんだ、イケメンって奴だな~。」
「おい、凪ちゃんを泣かせたら許さないぞ~。」
口々に囃し立てるおじちゃんたちの様子に、智風は少し驚いた表情をしながらも、私に囁く。
「凪、愛されてるんだね。」
その隣で智風を見つめるマサさんの顔は……ちょっと怖い表情だ。
智風……。なんで「やおよろず」でも恋人設定発動するかな!?
その後、常連客のおじちゃんたちの輪にすっかり溶け込んで、一緒になって楽しいお酒を飲んでいる智風の姿を見るのに時間はかからず、相変わらずのコミュ力の高さを目の当たりにした。
「まぁ、いい奴、な感じはするな。」
マサさんが智風が帰った後に、ぼそっと私にそんなことを言い、マサさんにはすぐにでも嘘なんだと言いたくなってしまった。
「だけど凪ちゃん、泣かされるようなことがあったらすぐに言えよ。ただじゃおかないからな。」
マサさん……本当の父親みたいです。
智風はすっかり「やおよろず」を気に入ってしまったようで、それからはたびたび来るようになってしまった。
お金の心配をしても、智風は平気そうで、時には常連のおじちゃんたちにつまみを分けてもらってごちそうになったりと気ままにやっている。
こうやって智風は、私の生活のあらゆるシーンに入り込んできて、気がつけば私も智風がいる生活に馴染んでしまったのだ。
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