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私はいつだってショートカットで日に焼けてて、化粧っ気がない。背も高いってほどではないけど、低くもなく、体つきも……よく言えばスレンダー、まぁ、女の子らしい丸みを感じられない、これまたよく言えばボーイッシュな見た目をしている。
当然服装だって、よくてデニムにTシャツ。
うっかりすると1日中ジャージなおしゃれっ気なしで、女子力0と断言できる。
夜遅くに外を歩いていたところで、女の子だとも思われないだろうと思う。
「物騒な世の中なんだから、用心しないと。」
マサさんはまったく譲ってくれない様子だ。
でも、私は働かないといけないし、部活だって辞めたくないし、そうすると、やっぱり夜の時間帯の仕事を探すしかないと思うんだけど?
困った顔をしている私を見て、マサさんがふっと笑った。
「それならさ、ここで働かない?
そうしたら帰りは上に上がるだけだし、俺も安心。」
「は?」
「今働いてくれてるバイトの学生がさ、もうじき本格的に就活始めるから、バイトの頻度を下げて、ゆくゆくは辞めちゃうんだよ。
で、代わりの人が欲しい状況な訳。
今入ってくれれば、そいつに引き継ぎかねて仕事を教えてもらえばいいし、ちょうどいいんだよなぁ……。
もちろん、大会の日は入る必要ないし、その前の期間だって、必要があれば休んでもいい。
テスト期間とかも同様。
店に入ってくれた日は、賄いもつけるよ。
悪い条件じゃないと思うけど……どう?」
……そうして、私は「居酒屋やおよろず」の店員になって、今に至っている。
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