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マサさんはもはや、第二のお父さん、なのだけど。
ちょっとした相談、本気の相談。
マサさんには今までいろいろしてきた。
マサさんは、私のことをすごくかわいがってくれていて、私も慣れない一人暮らしや大学生活のことで不安に思っても、マサさんに相談して頼って凌いできた。
……でもなぁ。
今日の夕方に突然降ってわいてきた天野くんからの契約上の恋人になってほしいという申し出。
これの相談は、ちょっと抵抗がある。
それに……。
まだ詳細がよくわからないのだ。
契約上の恋人になって欲しいといった後、呆気に取られている私に向かって、天野くんはマイペースにこう聞いてきた。
「今度の日曜日なんだけど、空いている時間、ある?」
あまりの出来事にぼんやりしていた私は、反射的に素直に答えた。
「えっと、午前は部活だけど、あとは特に。バイトも休みだし。」
それを聞いた天野くんは、嬉しそうにまた笑ったのだ。
「じゃあさ、午後2時に●●駅で待ち合わせ。
詳しい話はその時にするから。」
そう言って立ち去ろうとした天野くんを私は呼び止めた。
「え、何で? あの……。」
天野くんは顔だけ私の方に向けて言った。
「服装のことは気にしないでいいよ。
大学に来る時みたいな格好で。
デニムにTシャツのラフな格好でいいよ。
デートだからって悩まないでね。」
そして後は振り向きもせずに去って行った。
デート……なの!?
いや、でも、詳しい話をするのが目的だよね!?
もう、私はその場に立ち尽くすしかなかったのだ。
心配そうに私をチラチラ見ているマサさんに微笑んで見せて、私は残りの鯛茶漬けをいただく。
マサさんに相談するにしても、詳細がわかってからだ。うん。
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