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「このマイクに話しかけてください」
司令室の一角マイクスタンドが置いてある。ウィートはその前に座って暫し考えて……。
「アル! 帰ってきて。エンジンが壊れたって聞いたけど、壊れたのはメインエンジンだけでなんでしょ? サブエンジンはまだ起動してるんでしょ? アルならきっと帰って来れるよ! お母さんが帰ってくるのにすっごく複雑な計算しなきゃいけないって言ってたけど、アル計算とっても得意だったじゃない! 地球からのサポートなんかなくても……う、ううっ……きっと、きっと帰ってきて! 私、アルが帰ってくるまでに、一人前のAI研究者になってるから! それで、アルの……アルの……」
それから先は嗚咽で言葉にならなかった。泣き顔を見られまいと、少女がその場から逃げるように出ていく。その後ろ姿を周りの大人たちは辛そうな表情で見送った。
「Dr.リー。次話されますか?」
「ええ。そうね」
研究者の一人に促されて、Dr.リーが椅子に座った。
「アル。……助けてあげられなくて、ごめんなさい」
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