対面

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対面

 目を覚ましたウィートはDr.リーの膝の上でご機嫌だ。リビングのソファはローテーブルを囲むように配置され、ソファに座った人間たちに囲まれて、四つ足のロボットがテーブルの上に置いてあった。 「では、電源を入れますよ」  研究員がロボットの首にある蓋を開け、中のスイッチを押した。小さな駆動音がしてロボットの瞳のシャッターが動いた。それと同時に、額のランプが点灯する。 「タイプ・α、起動しました」  滑らかな合成音がロボットからする。 「ハイ! アルファ。私はDr.リー。人物ファイルにアクセスして私のプロフィールを確認して」 「Dr.リーのファイルにアクセス。タイプ・αのプロジェクト最高責任者と確認。声紋を認識、これから、タイプ・αの基礎データの入力を行います」 「データの入力をお願い」  研究員がノートパットを操作して、Dr.リーの家の間取りや、家の中の立ち入り禁止箇所、各方面の連絡用アドレスなどを入力していく。それが終わるとDr.リーはウィートをαに向き合わせた。 「アルファ。この子はウィート。あなたが一番大切にしなきゃいけない子よ。そのことを覚えておいて」 「……大切?」 「そう、私の家をあなたの試験場にしたのは、あなたに細かい起動モーションの訓練をしてほしいからだけじゃない。あなたに何を一番大切に考えるか、の勉強をしてほしいからなの」 「Dr.リー。の定義は?」 「それは自分で理解するのよ」  ロボットは首を傾げた。その様子が興味深かったのか、ウィートがロボットに手を伸ばす。赤ん坊の手に焦点を合わせるように、ロボットの瞳孔シャッターが瞬きを繰り返した。 「それから、ここにいる間はあなたの名前は、よ」 「アルファ……アル……?」 「よろしくね。アル」
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