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決定事項
Dr.リーは記憶の中で一人の女性と向かい合っていた。
「私は反対です! 確かに、タイプ・αは次期ボイジャーシリーズに搭載するAIのプロトタイプですが、αは研究用の個体であることを理解されて……」
「それはわかっています、Dr.リー。ですが、プラネット・ナインの調査にAI搭載型の探査船を送り込むのはそれなりに、AIの研究に意義があるのでは?
次期ボイジャーシリーズのように行きっぱなしになるわけでもないのですし、宇宙空間でのAIの判断、行動、それらの記録を実機で持って帰れる機会を逃すのは惜しいと、考えるのは間違いですか?」
「理解はしますが……ですが、αはまだ成長途中で!」
「では、VRの中で成長スピードを上げてください。実空間での訓練期間は短くても構わない、というのがAI委員会の結論でした。それに反対したのはあなただけ。
それにこれは国連宇宙総括議会の最終決定事項です、Dr.リー」
その一言が、アルを宇宙に放り出したのだ。
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