娘の決意

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娘の決意

 それから、一年が過ぎた。 「お母さん。おかえりなさい……どうしたの? 嬉しそうな顔して」  十二歳になった娘に、Dr.リーはいい知らせを告げた。 「ウィート。今日、アルがプラネット・ナインの調査を終えたのよ!」  Dr.リーの言葉にウィートの顔が、パッと輝いた。 「じゃあ!」 「ええ、アルは五年後には帰ってくるわ!」 「やったー!! アルが帰ってきたら、また一緒に暮らせるよね?」  でも、娘の無邪気な言葉にDr.リーは娘に現実を突きつけるべきなのかどうか、迷った。  アル……タイプ・アルファは全人類共有財産の中に入っている。人類、を理解させるため。そして常に人類にとってプラスになる選択をさせるため、そのためにアルファを娘と一緒に育てた。  に人類を代表させたのだ。  それは、人の子とAIとのだった……同時に二つを育てていた自分のエゴではないと、否定できるだろうか?  そして、地球に帰ってきても、アルはもう私たち親子の家族には戻れないのだと、娘に言うべきなのか? 「お母さん? ……やっぱり、アルはうちに帰って来れないの?」  娘の質問になんと答えようかと考えていたのは、多分数秒に過ぎない。でも、ウィートはその沈黙の意味をしっかり理解したようだった。 「ウィート?」  それは確かに娘の成長を思い知らせる。 「わかってるんだ。アルは……色んな人のもので、わたしの兄弟には戻れないんだってこと」 「ウィート。アルは宇宙に行ってもあなたの兄弟よ!」 「でも、アルのはもうわたしたちの家じゃない。お母さん、私決めたよ。私もお母さんと同じAI研究者になる! そうすれば、アルとずっと一緒にいられるでしょ?」 「ウィート……。それは、本当にあなたの意志? 無理する必要はないのよ?」 「だってアルは私の兄弟だから。これから生まれるアルの弟たちも、私の兄弟でしょ? ボイジャーシリーズに乗るAIたちに、家は地球(ここ)だよ、いろんな人がみんなのこと思ってるって……言い続けてあげなくちゃ。それがアルの兄弟だってことでしょ?」 「ウィート」 「お母さんがAI(アル)を作ったんだから、それぐらいわかるよね?」 「……ええ、そうね」
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