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綾瀬里香
綾瀬里香はいつものように朝食を食べ
いつものように身支度をしていつものように
「細井高等学校」に出掛ける。
「行ってきまーす」母と父に元気よくそう言って
玄関の外に出た。
「バタン」ドアを強く閉めて学校に向かう。
両親に心配かけたくなかった里香は玄関に出るまでは笑って朝食を食べ、笑って母親と話して笑って
お弁当を母親から受け取り笑って玄関を出た。
玄関を出た里香は携帯を見ながらため息をついた
「またダメだったか……今度は自信あったんだけどね」里香は小学6年の頃から小説家になるのが夢
だった。
「私の何がいけないのか?」里香はたくさんの
小説投稿サイトに登録していたが里香の作品を読んでくれる人は数人しかいなかった。
「読まれもしないなんて」里香は携帯を見ながら
呟いた。睡眠時間を削って書いている作品を読まれもしない事に寂しさと情けなさが入り交じった
感情になっていた。
肩を落としてとぼとぼ歩きながら高校の近くまで
来ていた。すると後ろから声を掛けられた。
「里香~おはよう。朝から浮かない顔だね」
「その落ち込んだ顔はもしかして?お疲れ様会
またやるからさ~」
里香の友人の桃子と七海は里香にそう言って
励ました。
里香は読まれない自分の小説がどうやったら
読まれるようになるのかずっと悩んでいた。
「桃子~ 七海~私、才能ないのかもしれない。
そろそろ諦めた方がいいと思うんだよね。
桃子も七海も私の小説読んだよね?どうだった?
桃子も七海も優しいから何も言ってくれない本当の事を言って」
「わかった。とりあえず教室に行こうか」
三人は「細井高等学校の一年B組」の教室に
入って行った。
桃子から話し始めた。
「里香~里香のミステリーはすぐ犯人がわかって
しまう」
七海も言った
「もっと自分の身近な出来事をミステリーにしたらどうかな?例えば高校の日常で起きた事とか……」
「それに、ドキッとするところがないような気がするよ」
桃子と七海に言われて里香は
「今日学校が終わったらお疲れ様会はいいから
家に寄っていろいろ教えてほしい。駄目なところをたくさん遠慮しないで話してほしい」里香は桃子と七海にそう頼んだ。
里香は焦っていた。毎日毎日執筆して投稿してるのに誰も見てくれる人すらいない。
このまま夢は夢のままで終わってしまうのか……。
里香はどうすれば読んでもらえるようになるのか
頭を悩ませていた。
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