マスコミ

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マスコミ

里香 桃子 七海は学校の門に入って行った。 三人は振り返ってもう一度大勢のマスコミの人の方をさりげなく見た。 先生達が必死に 「お帰りください困ります」 「授業が始まりますので帰ってください」 「静かにしてください」 「生徒達を動揺させないでください」 そう言ってマスコミの人たちが通学中の生徒に 声を掛けようとするのを必死に止めていた。 その止めている先生の中には担任の鍵屋陸もいた。 男子生徒の一人にマスコミは声を掛けた。 「AB出版の者ですが佐久間美子さんっていう生徒ご存じですか?」 男子生徒は 「知りません」そう言って門の中に入った。 担任の鍵屋陸は 「もう、いい加減にしてくれ。これから授業なんだ 帰ってください。 後日佐久間美子と相談して 記者会見の予定を設定しますから今日のところは お引き取りください‼️」鍵屋は大声を張り上げて たくさんのマスコミにきっぱりと言った。 マスコミの人達は担任の鍵屋陸の迫力に負けて 名刺を鍵屋に渡した。 「この名刺の電話番号に電話を掛けて記者会見の 日程を組んでください。お願いします」 里香 桃子 七海は門の近くでこっそりその様子を見ていた。 マスコミは担任の鍵屋に名刺を渡すと全員帰って 行った。 教室に入ると教室はざわついていた。 「なになに?あのマスコミの数?」 「俺~佐久間の事聞かれたぜ、学校ではどんな生徒かって。何も言わずに逃げたよ」 「私も同じこと聞かれたわ。佐久間さん何か したの?事件?」 「そのうち事件です。とかワイドショーで騒がれるとか?」 「でも、あの子真面目でクラスの中で一番の成績だよね。事件起こす生徒には見えないけど?」 「直接聞いてみる?でもあの子真面目すぎて 話しづらい」 「よくまあ、みんなはっきりしてないのに 陰でいろいろと話広げられるよね。」 「暇なんじゃないの?」 「まだ何もわかってないんだからさ~あれこれ言うの止めたら?」 里香 桃子 七海の三人はクラスメイトみんなに 注意をした。 そこへ担任の鍵屋が教室に入って来た。 「今日は今から自習にします。佐久間、相談室に ちょっと来なさい」 クラスメイトの池上忍は担任の鍵屋陸に聞いた。 「先生何で佐久間さんの為に自習にしなければならないんだ?」 他の同じクラスメイトの生徒も一声に聞いた。 「事件ですか?」 「あのマスコミの人達の数は普通じゃないですよね?」 「何があったんですか?」 「私達には知る権利があります。授業を佐久間さんの為に中断するんだから」 「理由を話してください」 一声に担任の鍵屋はクラスの生徒に聞かれ 「わかったわかった。とにかく本人に聞いて はっきりしたら話すから」 そう言って佐久間と担任の先生は相談室で話しを する為に教室から出て行った。 いろいろと話が長引いているのかトラブルなのか? 他の先生もいるのか?何もわからないまま一時間目の授業は自習で潰れてしまった。 その日は二時間目も自習だった。 よほどの事があったのか?マスコミに電話を掛けているのか?二時間目の自習の時も何もわから なかった。佐久間と担任の鍵屋は相談室から戻って来なかった。 三時間目の授業が始まる前に三時間目を担当する 予定だった国語の先生の泉洋子と担任の鍵屋陸が 教室に入って来た。 鍵屋は言った。 「自習にさせてすまんみんなに話しておかなければいけない……」 教室にいる生徒は深刻な話なのか?二時間も自習させられた事はないので心配している様子だった。 鍵屋は話を続けた。 「実はな~ここにいる佐久間美子が 「ミステリー小説大賞プレミアム」を受賞 したんだよ。 それでな~みんなも知っている通りこの賞は なかなかとれないミステリー小説の大きな賞なんだこの賞の大賞を受賞すると小説家としてデビューはもちろんの事、映画やドラマ化もされる。 そしてテレビでインタビューもされる。 そこでマスコミと相談して今度の金曜日車で学校まで佐久間を迎えに来てそのままテレビ局に佐久間は向かい記者会見を生中継する事になったんだ。 その後、佐久間は雑誌のインタビューなど忙しくなるから学校にはしばらくは来られないかもしれないな。 今、佐久間のご両親にも許可を得たところだよ。 金曜日には教室にあるテレビで生中継を見よう。 このクラスから最年少の大きな賞をとる才能がある生徒が出たなんて先生は鼻が高いぞ。 佐久間ここへ来て一言なんか話しなさい」 佐久間美子は教室にあるホワイトボードの前に立つとこう言った。 「あの~私、話すのが苦手なんですけど何の 取り柄もないので自分を変えたいと思って 小説だけは毎日読んでいました。 そして、始めて小説でも書いてみたらもしかしたら変われるような気がして書いたのでまさか大賞を 貰えるとは思いませんでした。 このクラスの日常を参考に事件が起きたら面白そうだな~と思って書きました。 本当に信じられません。 夢みたいですよかったら読んでください。 インタビューなんて恥ずかしいし、テレビに出た こともないのに~。ただの暇潰しで書いたようなものなので~。 今度の金曜日教室のテレビで見てくれたら嬉しいです。」 佐久間美子の挨拶が終わると担任の鍵屋は 「みんな拍手」 そう言った。その後、教室に響きわたるほどの拍手と声援でクラスメイトは佐久間を応援をしていた。 「佐久間さん頑張ってね。」 「佐久間さんテレビ見るから」 「佐久間さん今のうちにサインサイン」  佐久間は照れながら 「ありがとう。みんな」 そう言ってお礼を言った。 里香と桃子と七海は 「あの子も応募してたんだね。ミステリー小説大賞プレミアムに……」 「里香が休み時間こっそり携帯で書いていた小説をたまに覗いていたよね?」 「里香が佐久間さんも小説家になりたいの? 応募とかするの?って聞いた時、私は応募なんて しないよどうせ賞なんてとれないし~無理だよ 絶対に応募なんてしないから安心してとか 言っておいて人の小説覗き込んで、里香の小説の 書き方を参考にしてたんじゃないの?」 里香も 「私はずっと何年も小説を投稿しているのにあの子は応募なんてしないと嘘をついて私の携帯を覗き見してたんだわ。私、あの人には負けられない」 里香の負けず嫌いな性格が一気に爆発した。 みんなが拍手をしている中、三人は拍手をして喜ぶ 気分ではなかった。 里香は佐久間に自分から話しかけた。 「佐久間さん始めての投稿で賞をとるなんて凄いわどこかで習ったんじゃないの?教えてもらったとか?」 佐久間は言った。 「家にねチラシが入っていたの有名作家の葛城累先生もそこをでたとか?実はね恥ずかしくてそんな事言えなかったの。土日だけだし一時間だけだし費用も安いから自分を変えたかったんだー。それにね 暇潰しで応募しただけ小説は読む方には興味があったけど、書く方には興味無かったんだ~」 佐久間は里香にそう言った。 「いいのよいいのよ気にしないで」里香はそう言ったが腹の中は怒りが込み上げていた。 桃子と七海は里香に聞いた。 「里香もあのチラシの小説専門学校に行くの?」 そう言われ里香は二人に答えた。 「絶対にあの人と一緒の小説専門学校には行かないもっと別のところを探す。 たった一回の応募でしかも土日しか本格的に書かないような人に負けられない。 もっときっといいところが見つかるはず 私も勉強してみようと思う。今の私の実力だと このまま読まれないで終わってしまうだから 今日から自分で探して勉強してみるよ」 そう話した。 桃子は 「私もいいところがあったらすぐ教えるね兄貴が マスコミ関係だからさ知っているかも知れないし」 七海も 「私も探してみるよ今はネットでいろいろ探せるからさ~」 その日から三人は小説の書き方を教えてくれるような専門学校やサイトを探しまくる日々が続いた。 なかなかそんないい小説の書き方を教えてくれる ところは見つからないまま。 佐久間美子のインタビューの金曜日が近づいていた
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