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小説の勉強の初日
里香は小説の勉強の初日、保護者の同意書など
持ち物を鞄に入れて世田谷に向かった。
電車に揺られながら里香はこれから始まる小説家の赤井順が直接ミステリーの書き方を教えてくれるというのでわくわくした気持ちで胸が一杯だった。
一時間ほどで世田谷駅に着いた。
里香は初めて行った世田谷だったがまわりの景色には、目もくれず携帯の地図を頼りに目的地まで
まっすぐに進んだ。
「えっと、この辺かな?このあたりの小学校だと
思うんだけど?あの人に聞いてみよう。
済みませ~んこの小学校この辺りだと思うんです
けど知りませんか?」
里香は通行人のおばさんに地図を見せて聞いた。
おばさんは教えてくれた。
「この小学校は一本先の道を曲がったところよ。
ここからだとあの白い建物の裏の道に行けばすぐ
わかるわ。でも廃校の小学校に何の用事があるの?
まさか~あなたも小説家を目指してるの?もしそうなら止めた方がいいわね」
おばさんは里香に言った。
「どうしてですか?」
里香が聞くとおばさんは里香に話した。
「あそこで小説家になるんだと有名になるんだと
言った若い女性や男性が今までに何人も入って
行ったわ。確かに有名作家になってみんな夢を
叶えていった。
そして一番大きな賞をとって本がどんどん売れる
ようになるとみんな姿を消すのよ。
みんな行方不明になるの。
未だにどこに行ったかわからないのよ。
だから行かない方がいい。
みんな赤井順に小説の書き方を教えてもらってるって言ってたわ。
私の娘も小説家になって賞を貰ってるのよ。
名前だけ貸して別の広告に載ったりした事も
あったんだけど、本当はあの小学校で赤井順に
教えてもらってたの。そして行方不明よ。
私の娘も」
里香は聞いた。
「その小説家さんの名前は何て言う小説家さんなんですか?」
「葛城累よ」
里香は驚いた。
「葛城累さんてマルチ小説家さんでいろんな小説を書いて賞を数えられないほどとっているあの葛城累さんですか?天才って言われてる」
おばさんは
「天才かどうか?はわからないけどマルチ小説家 って呼ばれてた葛城累よ」
そう言った。
里香はぞっとしたが、それでも作家さんに教えて
もらいたいと言う気持ちは変わらなかった。
「私、葛城累さんのような作家さんになりたいん
です。だから私廃校でもどこでも行きます」
そう言って里香は、目的地の廃校した小学校に
向かった。「ここよね~たしかにボロボロだけど
一つの教室だけ明かりがついている。
あそこかな?」
そんな時、里香は後ろから肩を叩かれた。
それは隣のクラスの吉本洋子だった。
「吉本さんあなたも今日からだったのね。
宜しくね」
「こちらこそ宜しく今日からってラインで教えなくてごめんね。びっくりさせたかったの」
そう言って洋子は笑った。
里香は
「吉本さんがいるなら安心だわ」そう言った。
ところが吉本は真剣な顔をして里香に新聞の
切り抜きが入ったファイルを見せた。
里香は驚いた
「全部で18人有名作家が行方不明。何故行方不明になったのか?わからない。ただ学校で小説の書き方を教えてあげると小説家赤井順に言われたとの事
だけしかまだわかっていない」
そう書いてあった。
二人はぞっとして恐怖を感じた。それでも二人の気持ちは変わらなかった。
その時
「君達よく来たね。じゃあ、あの明かりが灯って
いる教室に行こうか」
二人は赤井順の後をついて行った。
部屋に入るとまず二人は、保護者の同意書を
渡した。
そして、ホワイトボードに小説の書き方を赤井順に書いてもらっていた。
二人の初めての赤井順の授業は真剣にメモをとるところから始まった。
窓の外には近所の子が
「またホワイトボードの方を見ながらメモをして
いる人がいるよ。たまに話しかけてるけど❓️
誰に話してるんだろう❓️これで何人目かな❓️
今日は二人がホワイトボード見てるよね?
変なの❓️行方不明にならないといいけど」
教室の中にいる吉本洋子と綾瀬里香には
窓の外の近所の子供の声は聞こえなかった。
初日二人は真剣に先生の話を聞いてメモをしっかりとっていた。
二人は
「ありがとうございます。明日も宜しくお願いします」そう言って赤井順にきちんと挨拶をしていた。
学校を出ると近所の子供達は言った。
「誰と話していたの?」
里香と洋子は
「誰って赤井順って言う作家さんよ」
そう言った。
でも子供達は「お姉ちゃん達二人しかいなかったよ」そう言われ二人は、子供だとわかってるのに
何故か急にイライラしてきた。
何でイライラしてきたのか❓️その時はまだわから
なかったが二人は子供相手に怒鳴り付けてしまった。
「うるせえ‼️黙れ坊主」そう言って鋭い目で
子供達を睨んだ。まるでそれは里果と洋子の体の中にもう一人誰かが入っていてその誰かにまるで
言わされているようだった。
子供達は泣きながら走って行った。
それが一番最初の恐怖の始まりだった……。
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