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「華澄ちゃんは請求書の計算おわってないでしょー。今日は風太くんの歓迎会があるから残業できないんだからねー」
「そ、それなら、亜美ちゃんに代わりにやってもらっておけば...」
「華澄ちゃんは、ホントに風太くんのこと好きなんだね〜。でも、仕事なんだから分別つけなきゃダメだよ?」
仕事中に抜け出して部下に肩揉ませた人がなにか言った...。
「風太に肩揉ませたくせに...」
俺が心の中で思ったことを、華澄はあっさりと本人の前で言ってみせた。
「風太くん、華澄ちゃんに言ったの?」
そして、責められるのは俺。入社した初日から詰められる感じですか?
「相原さんが言わなくても、ウチらは分かりますけどね。相原さんが漏れちゃうから、そろそろウチらは行きますね」
亜美さんが話を切り上げてくれたおかげで、俺は尿意を堪えずに済み、事務所を後にした。
「ウチは美華さんに頼まれただけですから、華澄先輩には相原さんからもちゃんと言っておいてくださいよ」
事務所を出て歩き始めたところで、亜美さんは不満そうにしながら俺に話してきた。
「な、なにを言えばいいんですか?」
「恨むならウチじゃなくて美華さんって。ホントは華澄先輩が案内したかったみたいだし」
「ああ、そういうことですね...」
なんだか、亜美さんに余計な気を遣わせてしまって申し訳ないなあ...。
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