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再会
「それじゃ、久々の再会を祝して乾杯!」
俺はたっちゃんからのメッセージを返信することにした。すると、たっちゃんからの提案で居酒屋で飲むことになって現在に至るのだ。
「ぷはぁー!うんめぇぜ!生追加!」
「本当久しぶりだな。もうかれこれ五年ぐらいか?」
「お、おぉ。そうだな高卒以来だから五年だな」
「なに、虎太郎なに固くなってんの?」
「へい!おまち!」
ドンとジョッキを置く音にビクリとして横を見ると赤髪の女性と眼が合った。
「ありゃ?よく見りゃ虎太郎じゃねぇ?久しぶりじゃんッ」
その人物はたっちゃんのお姉さんの茜さんだった。
「あ、あ、茜さん。お久しぶりっす」
「がははは。何かしこまっちゃってんのッ」
「あははは。こんなところで何してるんですか?」
「見てわからないか?」
「バイトですか?」
「ちっがぁーう!実はなぁ──」
「ここ姉ちゃんの店なんだ」
たっちゃんが抑揚のない声で言うと。茜さんはたっちゃん首に腕を回してヘッドロックをかける。
「よぉーくも私の楽しみを取ったな!」
たっちゃんは涼しい顔をして言う。
「もう十分自慢しただろ」
「うるさい!私はまだ満足してなぁーい!」
「茜ちゃーん生中頂戴!」
オーダーが入ると別人のように「はーい」とトーンを上げて答えた。
茜さんはたっちゃんから腕をほどくと、俺にぐっと近づき顔を寄せ
「ゆっくりしてってね」とそっと俺に耳打ちした。その低く威圧てきな声に、俺はまだ許されていないのだと理解した。
茜さんが席から離れると、たっちゃんが申し訳なさそうに言う。
「ごめん」
「いやいや全然迷惑とか思ってないからから!」
「いや、そっちじゃなくて、虎太郎さ、姉ちゃんと気まずい別れかたしてたのに……姉ちゃんの店連れてくるとかちょっと無神経だったよな」
…………。
正直会いたくはなかったが、地元に戻ると決めた以上俺との事を払拭しておきたいところだった。
「気にすんなって!もう過去の事だし!俺も全く気にしてないよ」
「わりぃ。そう言ってもらえると助かるわ」
たっちゃんはジョッキのビールをゴクリと飲み枝豆を貪り始めた。
それから俺とたっちゃんは昔のやんちゃしていた時の話題で盛り上がり酒が進んだ。
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