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・結果
結論から言うと、作戦はなかなかにうまくいった。
理由としてはいろいろ考えられるが、やはり1番は『カモとつながりを持てた事』だろう。
俺の作ったサイトは閲覧するためにメールアドレスの登録を強要しているのだが、詐欺師目線からすると、現在使われているアクティブのアドレスを入手出来るという事がまず非常に大きかった。カモとつながりを持つ事は、騙す上で1番の難関であり、関門であると言っていい。
作ったサイトは、まずその障壁を除いてくれた。
そして、サイトには俺がつかまえたターゲットたち以外にも、全国の『ドッペルゲンガーに対して恐怖を抱いている人たち(意外に多い)』が何人も集まり、相談を持ちかけてきた。
俺は予想外の成果にほくそ笑み、予定通りそいつらに適当なアドバイスをしつつ、日々小金を巻き上げていった。
だが、中にはもちろん俺に対し不信感を抱いてくるやつもいる。
最初はどうするべきかと悩んだが、そういうやつには、メールを送るのが効果的だった。
深夜2時頃、ドッペルゲンガーを装って、
『今、どこにいるの』
とか
『今から殺しにいく』
などといった攻撃的なメッセージを送るのだ。
そもそもサイトに集まる連中は、元よりドッペルゲンガーが怖いやつらだ。これがかなりの効果があって、大抵のやつはそのすぐ後に、メールや電話で「助けてください」と泣きついてくる。
しかもここまで来ると、多少ふっかけてもすんなり払ってくれる事がほとんどだった。
そうして、この詐欺を始めてから、ざっと1年。
俺はそれなりのカネと、詐欺師としてそれなりのスキルと地位を築く事が出来たのだった。
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