征服してください、魔王様!

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征服してください、魔王様!

「って事で、そろそろ魔王らしく世界征服をしようと思う」 「そんなクッソ軽い決意表明で、よく私が賛同すると思われましたよね? 一応、理由をお聞きしても?」 「目覚めた時に『あ、今日世界征服しよう』って閃いたのだ。ま、思い立ったら吉日だと言うだろ」 「……聞かなければ良かったと心底思いましたよ」  目覚め、執務室にやって来た城の主――魔王ノヴァとの言葉に、側近として仕えている魔族グロリアが溜息をついた。  グロリアの顔には深い疲れが刻まれ、栗毛色の髪には少し白い物も混じっている。さぼり癖が酷すぎる主に代わり、人間たちから魔界と称されるこの地と魔族たちを纏めて来た心労によるものだ。  一言で表現すると、苦労人である。  ちなみに、主である魔王ノヴァの表情は正反対だ。居眠りと称して十年ぐらい眠っていた為、元気そのもの、黒い髪も肌もツヤッツヤ。居眠り前には死んだ魚のように虚ろだった瑠璃色の瞳を輝かせ、フフフッと不敵に笑う。
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