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「ありがとうございました、魔王ノヴァ様。何とお礼を申し上げたら良いのか……」
「お前たち家族の事を解決しなければ、そのジャジャ馬娘が帰ってくれないからだ。お前の娘が、何度世界を崩壊の危機に陥れようとしたか……」
深々と頭を下げたトベルクとリアーナに対し、ノヴァはふんっと鼻を鳴らして答えた。
グロリアが、全てはお前が気軽に世界征服しようとしてカノンを誘拐したからだろう、とジト目で語っているが、無視する。
その時、
「魔王様!」
小さな衝撃がノヴァを襲った。いつの間にか姿が見えなくなっていたカノンが、ぶつかって来たのだ。
母親の美貌とはまた違った満面の笑顔を浮かべながら、一枚の紙を差し出す。
何かと思いながら開くと、
――ノヴァさま だいすき
そう書かれた子供らしい大きな文字、下にはノヴァとカノンと思わしき人物がハートマークで囲まれている絵だった。
純粋な感謝に満ち溢れた絵に、心の奥底がじんわりと温かくなる。
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