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遠い昔、自分が求め、抱き、失った感情――
沸き立つ気持ちを振り払うように軽く頭を振ると、ノヴァは貰った絵を懐にしまった。
グロリアが開いた転移ゲートの青白い光に向かって、歩みを進める。
立ち去るノヴァたちの背中に、
「ありがとう……本当にありがとう、ノヴァ様! お父様とお母様を助けてくれて、本当にありがとうっ‼」
少し震えた声で何度も感謝の言葉を叫ぶ少女の声が聞こえた。
(まあ……こうして人間に感謝されるのも、悪くはないかもな)
そんな事を思いながら、ノヴァはゲートを潜った。
目の前に良く知った部屋が現れる。
自分の城の一室だ。
転移ゲートを消したグロリアが、やれやれと肩をグルグル回しながら、嬉しそうに声をかけて来た。
「カノンがいなくなって少し寂しいですが、世界征服を続行しましょうか。後、まだまだ貴方の仕事も残っているのでその片付けも――」
「……寝る」
「え? い、今何と?」
嘘だろ? 聞き間違いだと言ってくれ! と言わんばかりに瞳を見開き、グロリアが尋ねる。
しかし、現実は残酷だった。
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