征服してください、魔王様!

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「って事で、世界征服の手始めとして、早速隣国の姫でも攫おうと思う」 「わざわざ攫わなくても良くないですか? 魔法を放てば、一瞬にして全世界が貴方の足元にひれ伏すと思いますが」 「合理性を求めても空しいだけだぞ。何事も結果ではなく、そこに至るまでの過程が大切だと言うだろ」 「その大切な過程すら『飽きた・疲れた・寝る』って放り出す人から、一番聞きたくない言葉ですね。どの口が仰っているのですか? 面の皮厚すぎません?」 「……私が寝過ごし、魔界を十年間もほったらかしにしていたのが、そんなにも憎いか、グロリア……?」 「いいえ? 貴方様から与えられた『代理統治者』という栄誉を、しょぼくれた自分の顔を鏡で見る度に噛みしめていますよ?」 と、世界を呪っていそうな笑顔を浮かべながらグロリアが答える。  魔王ノヴァは怠惰。  何をしても続かず、すぐに疲れて眠ってしまう。そして気づいたら二十年ぐらい寝ちゃってた、てへっ★ という事が多々あり、尻拭いをいつもグロリアがしていた。なので、彼が主のメンタルにチクチクやるのも仕方ない。許したげて。  とはいえ、彼も果てしない時間を共に過ごしてきたノヴァの忠実な配下。
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