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「という事で、早速ですがどちらから征服されますか? 我が国グラーヴェ王国? 魔王討伐を目論む軍事大国バオエリ? それとも――」
十歳のチンチクリンからは想像出来ない、大人の色気に満ちた艶のある笑みを浮かべながら、そっと彼の胸に寄りかかり囁く。
「わ・た・し?」
「……へ? わ、わたし?」
カノンの温もりを胸で感じながら、唇が彼女の言葉を無意識に反芻した、次の瞬間、
「はい、『私』頂きましたー‼ おい、皆‼ 急いでノヴァ様とカノンを寝室へ‼」
グロリアが叫ぶと、突然執務室に他の配下たちが流れ込み、ノヴァの体を持ち上げたのだ。
反射的に抵抗しようともがくが、圧倒的数の暴力によって呆気なく拘束され、運ばれていく魔王。
「ぐ、グロリア、これは一体どういう事だぁぁぁっ‼」
「今まで散々仕事を押し付けて下さったお礼ですよ。カノンが傍にいれば、さらにお二人の子供でも出来れば、貴方もオチオチ眠ってなんていられませんよね?」
「ま、待てっ‼ カノンは……カノンの気持ちはどうなる⁉」
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