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今日はこれくらいにしてやろうと作り笑顔を消すと、人差し指を空中につきつけた。目の前に、光り輝く文字列が浮かび上がり、グロリアの口元が意地悪い笑みを形作る。
「隣国グラーヴェ王国には、リアーナ・エルドネスタ・グラーヴェという十六歳の一人娘がいるみたいですね。『グラーヴェの至高』と呼ばれる程の美姫だそうです。その姫を攫って好き放題……生唾モノの胸躍る悪の所業ですね」
「お前……そういう性癖の持ち主だったのか。ちょっとヒクわー」
「って貴方魔王ですよね? 今から世界征服するんですよね? 悪の所業を尽くすんですよね⁉︎」
「お前、魔王は皆、攫った女を襲うと考えてるのか? 魔王の風評被害だから今すぐ改めろ。ちなみに私は略奪やNTRモノはNGだ」
「えぇー……」
てめぇの性癖など聞いてねーと言いたげな側近を後目に、ノヴァは右手を地面をかざすと、目の前に時空転移の魔法陣が現れた。
先ほどまで自身の性癖を語っていたとは思えない唇が、厳かな低い声を奏でる。
「現象世界を司るノヴァ・セレスティアルの名の下に、グラーヴェ王国第一王女をここに召喚す」
「あ、お待ち下さい‼」
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