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王女の情報を見ていたグロリアが、慌てて静止した。
が、時すでに遅し。
部屋に光が満ちる。
魔法陣が発する輝きと共に現れたのは、十六歳の絶世の美女……ではなく、
――少女。
二重の大きな青い瞳を見開き、血色の良い唇を半開きにして二人を見上げていた。くすんだ金色の髪を背中まで流し、少しそばかすが散る頬は少女特有の膨らみを残しているが、全体的に細い。どちらかというと、急に体重が落ちた様な不自然な細さだ。
ノヴァがグロリアに視線を向ける。
このチンチクリンのどこが絶世の美女だ、という非難と涙を滲ませながら。
「申し訳ございません。さっきお伝えした情報は十二年前のもの。リアーナ王女は現在二十八歳で、夫を迎え、十歳の一人娘がいるようです。つまり――」
「リアーナ王女って、私のお母様の事?」
「という事です。ノヴァ様は先程『グラーヴェ王国第一王女』と指定なされた。つまりこの少女は、現グラーヴェ王国第一王女、リアーナ妃の娘です。名前は……」
「カノン・エルドネスタ・グラーヴェですわ」
「という事らしいです、ノヴァ様」
「……グロリア、さっきからこの娘、さらっとこの状況に順応して、会話に入って来るんだが」
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