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何こいつ、怖、という表情を浮かべ、不気味そうに王女カノンを見つめるノヴァ。
それもそうだろう。
普通なら、突然魔王の城に召喚され、驚き、嘆き叫ぶ案件だ。にも関わらず目の前の少女は、好奇心満ち溢れた瞳を、二人に向けているのだから。
とは言え、一応自分は魔王。
一つ咳ばらいするとカノンの前に立ち、威圧感を持って少女を見下す。
「ま、まあいい。私は魔王ノヴァ。お前は我が世界征服の足掛かりとして攫ったのだ」
「世界征服という事は、我が国も征服するのですね? どうぞよろしくお願い致します!」
「うんうん、分かっ……って、え? い、今何て言った?」
聞き間違いかと思った。
二人の会話を聞いていたグロリアも驚きを隠せていないところを見ると、ノヴァと同じ言葉を聞いたに違いない。
カノンは立ち上がると、少女でありながらも王族らしく優雅にカーテシーをした。
「どうか我が国を征服して下さい、魔王様!」
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