征服してください、魔王様!

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 なので、おちおち二度寝も出来ない。  ならばせめて、自国を征服して欲しい理由を聞きだそうとしたのだが、彼女は頑なに語らないのだ。無理やり聞きだそうとすると、大泣きしてまた女性陣たちから冷たい目で見られてしまう為、無理強いも出来ない。 (押しても駄目なら引いてみろ、だな)  ノヴァは人払いをすると、少女と向き合い、微笑んだ。どこか、諦めたような苦笑いを浮かべて。 「今日はお前に一つ、馬鹿な神の話をしてやろう」  カノンの顔がこちらを向いた。  理由を問い詰められると思っていたのだろう、小首を傾げて不思議そうにしている。  寂しさを感じさせる低い声色が、物語を紡ぎ出した。 「大昔、とある世界に神がいた。神はとても真面目で、この現象世界を良くしようと情熱を抱いていた。彼の配下である天上人たちも、神に従い働いていた。世界は発展し、人間たちは豊かさを享受した。だがいつ頃からか、人間たちは神の恵みを当たり前だと思うようになり、感謝を忘れた」 「神様に、ありがとうって言わなくなったの?」
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