カメルーン旋風

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 ワールドカップ決勝の西ドイツ対アルゼンチンのテレビ放送を見た。NHKで放送された。  開始早々から西ドイツはじりじりとアルゼンチン陣内に攻め込んだ。アルゼンチンも分厚く守り時折攻撃をしたがシュートまで持っていけなかった。 「何だか力の差がはっきりしているな」と彼の父は言った。前半にアルゼンチンにチャンスがおとずれた。ペナルティーエリアまじかの右サイドで直接フリーキックを得たのあった。  キッカーはマラドーナだったが、ボールはゴールのバーを越えていった。  前半〇対〇の同点で折り返したが、後半はどうなるのか楽しみだった。  後半に入るとクリンスマンがドリブル突破をした。でもゴールは決まらなかった。  後半もかなり時間がたってから西ドイツのキャプテンマテウスが中盤の五〇メートルをトップスピードでドリブル突破した。スルーパスをゴール前のフェラーに出した。  その時ペナルティーエリア内でフェラーは倒れた。ペナルティーキックの判定になった。  西ドイツ選手が確実に決めて先制ゴールとなった。  マラドーナがボールを持つと西ドイツプレイヤーは四、五人で取り囲んだ。そのうち西ドイツはボール扱いの巧みなクリンスマンが最終ラインの方に下がってボールキープに入った。  ホイッスルが鳴り試合終了してアルゼンチンは負けた。  試合終了と同時にアルゼンチン選手の複数が主審を取り囲んで抗議したたが判定はそのままだった。  そこまで見ると彼の父親は「全く」と言って立ち上がったいった。  アルゼンチンプレイヤーは反則をしていないようだった。スライディングタックルはぎりぎりボールに足が届いていた。  アルゼンチンは準優勝だった。西ドイツが優勝した。授賞式でマラドーナは泣いていた。ほかのアルゼンチンプレイヤーの中にも号泣していたひとはいた。  彼はテレビを見終えてそのあと入浴した。
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