カメルーン旋風

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 イタリア大会は西ドイツの優勝で幕を下ろした。  でも彼は考えていた。もしも決勝トーナメント一回戦のブラジル対アルゼンチンの一戦で前半のブラジルのドゥンガのヘディングシュートがポストの内側あと五センチすれていたらブラジルは勝利していただろう。もしマラドーナの後半残りわずかの時間帯に見せたドリブルからのパスがブラジルディフェンスの脚の間を抜けななかったらカニーヒアの決勝ゴールはなかった。  ほかにも準決勝の西ドイツ対イングランドの前半の西ドイツの先制ゴールはフリーキックからだったがイングランドディフェンス能力の高さが災いした。シュートをブロックしたのはいいが脚に当たったボールは反応したイングランドのゴールキーパーピーターシルトンの頭上を越えてゴールした。  そのあとリネカーの見事なゴールで同点にしたがPk戦でイングランドは西ドイツに負けた。  マラドーナがブラジル代表入りをしていたら、などと考えてしまった。ワールドカップ三連覇していたかもしれなかつた。彼はそんなことを考えた。    彼がもし、マラドーナだったらと考えて一人で喜んでいた。個室内で一人笑っているのだから彼は変なのだ。
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