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「この手袋はね、もともとあの人と二人で買って、私は右手、あの人は左手につけて、そうしてずっと相手を感じていられるようにしていたものなの」
「でも……」
「でも、あの人は戦争に行ってしまった。この手袋はあの人についていった。それで、それでこれだけ帰ってきた。あの戦争が終わる一か月前に」
「だから……」
「それでも私は信じるの。あの人が生きているって。生きているならいつか帰ってくる。帰ってきたらきっと私のところに来てくれる。だから私はその時にあの人が迷わないように、これをつけているの」
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