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ごめん、すみれちゃん。正直に話すね。
「ごめんね。僕は声だけの存在なんだ。正確には君が昔作った、シルバーアクセサリーに宿った魂だけの存在。だから僕はね、君の心の中にだけいるんだ。」
正直に話したとき、僕の銀の声色はしっかりとした純銀に戻れたようだ。
「銀くん、正直に話してくれてありがとう。これからもあなたを、大切に身につけるね。くすんでも、何回も何回も磨いて輝かせるんだから。だからお願い。」
彼女の声は、涙声だったけど、今までで一番鮮やかに発色していた。
「お願いってなに?」
むせび泣きながらも彼女はやっとのことで、僕にお願いをしたんだ。
「これからも私とたくさんお話しして、そのきれいな銀の声で私を励ましてくれるかな。」
僕も泣きそうになったけれど、必死に涙をこらえて、笑って返事をした。
「もちろん。」
「銀くんありがとう。」
おしまい
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