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それから十五年が経ち――。
教会の扉の前で、私はこれから結婚式を挙げる男性の腕に手をのせた。
顔をこわばらせている私に、男性が声をかける。
「緊張している?」
「少し」
「ふふっ、ガチガチに見えるけど」
私のそばには、白いドレスを着て花かごを持った女の子と、小さなクッションにのせた指輪を持っている男の子がいる。
「お父さん……どうしよう、ドキドキしてきた」
「僕も」
女の子と男の子は婚約者の娘と息子。女の子は九歳で、男の子は七歳だ。
「大丈夫。教えてもらったとおりにやればいいからね」
婚約者が優しく子供たちの頭を撫でている。
「ご準備はよろしいですか?」
ウェディングプランナーの女性が、私たちに笑顔を向けた。重厚な扉に手をかけ、ゆっくりと開ける。教会内の人々の視線が、一斉に私たちの方を向いた。
婚約者が女の子と男の子の背を軽く押すと、二人はバージンロードを歩き出した。花をまくあどけない姿に、結婚式の参列者の顔に笑顔が浮かぶ。
私は、彼に手を引かれ、歩き出した。
本当なら、私を導くのは、お父さんだったはずだ。
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