完全犯罪クラブ

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@芋太郎 「今どこにいますか?」 @さとー 「どうした?ちゃんとやったのか?」 @芋太郎 「本当にこの家で合ってますか?」 @ほのっぺ 「どういうこと?」 @芋太郎 「織田がいなかったんですよ。というか、全く知らない人がいたんですけど」 @ほのっぺ 「何言ってんの?」 @芋太郎 「だから、さとーさんが送ってくれた住所通りの家に行ったら、全然違う人がいたんですよ」 @坂本 「お前が住所間違ったんじゃないのか?」 @芋太郎 「ちゃんと住所通りのアパートに行きましたよ。隅田ハイツの205号室ですよね?」 @ほのっぺ 「ポストもちゃんと確認した?」 @芋太郎 「確認しましたよ。ポストにもちゃんと織田って書いてあったんですよ」 @坂本 「じゃあ織田の家で間違いないだろ」 @芋太郎 「だから、家にいたのは織田じゃなかったんですって!」 @ほのっぺ 「その家にいたのって、男?女?」 @芋太郎 「女でした」 @ほのっぺ 「それなら、織田の彼女とかじゃないの?」 @さとー 「で、お前は今どこにいるんだよ?」 @芋太郎 「家です」 @さとー 「織田の?」 @芋太郎 「そうです」 @ほのっぺ 「でも、そこに織田はいないんでしょ?なんでまだいんのよ?」 @芋太郎 「殺しちゃいました」 @ほのっぺ 「は?」 @さとー 「だって織田はいなかったんだろ?」 @芋太郎 「はい」 @ほのっぺ 「もしかしてあんた」 @芋太郎 「はい」 @坂本 「もしかしてお前、その女殺したのか?」 @芋太郎 「はい」 @ほのっぺ 「何やってんのほんとに!馬鹿じゃないの!?」 @芋太郎 「だって、顔見られちゃったから。どうしよう、警察に電話したほうがいいですよね?」 @さとー 「バカバカバカ!何考えてんだお前!」 @ほのっぺ 「そうよ!もしあんたが捕まってこのLINEが警察に見られたら、私たちまで捕まるじゃないの!」 @芋太郎 「でも、全く関係のない人を殺しちゃったんですよ。僕、どうしたらいいんですか? @坂本 「とにかくそこを動くな。すぐに行くから」 @芋太郎 「わかりました」 @ほのっぺ 「ねぇ、私たち大丈夫だよね?織田を殺せたのならまだしも、赤の他人の殺害容疑で逮捕されるなんて、絶対に嫌だからね!」 @さとー 「そんなの俺だって嫌だよ!」 @芋太郎 「本当にすいません」 ~15分後~ @坂本 「さとー、ほのっぺ、お前らもすぐ来てくれ」 @ほのっぺ 「嫌に決まってるじゃない!」 @さとー 「ふたりでどうにかしろよ!」 @坂本 「芋太郎が殺した女は、やっぱり織田の彼女だった。織田は幸い出張に行ってるみたいだが、どうやら明日の夜には帰ってくるらしい」 @ほのっぺ 「だったら今すぐそこから逃げなさいよ」 @坂本 「女をこのままにして逃げるわけにはいかない。織田が帰ってきたときに死んでる彼女を見つけたら、それこそ俺らが捕まるのは時間の問題だ」 @さとー 「でも、どうしろってんだよ」 @坂本 「まずは、この女をバラバラにして俺らが殺した痕跡を消す」 @ほのっぺ 「殺したのは芋太郎でしょ!」 @坂本 「俺らは共犯者だ。一人が捕まれば、他の三人も必ず捕まる。今は皆で協力してこの状況を乗り越えるしかない」 @さとー 「仮にもその女を無事に片づけることができたとして、その後はどうすんだよ?女が消えたことに織田が気付くのだって、時間の問題だろ」 @坂本 「もちろん織田も殺すんだよ。それなら誰もこの女を探さないだろ」 @ほのっぺ 「馬鹿じゃないの?織田以外にも、その女の両親だったり、職場の人間だったり、消えたことに気付く人間はいるでしょ!」 @坂本 「そうでもないぞ」 @さとー 「どういうことだよ?」 @坂本 「この女、どうやら織田や俺らと同じく孤児院の出みたいだ」 @ほのっぺ 「それ、本当なの?」 @坂本 「ああ、間違いない。この家のタンスの中から、この女の書類が出てきた。こいつは3歳の頃に両親が事故で死に、それ以来ずっと孤児院にいた。孤児院を出たのは1年半前で、それ以来ずっとここで織田と暮らしてるみたいだ」 @さとー 「仕事は?」 @坂本 「仕事はしてないみたいだ。だから、この女が消えたことに唯一気付く人間は、織田だけってことだ」 @ほのっぺ 「それ、本当に本当なの?」 @坂本 「ああ、間違いない」 @さとー 「じゃあ、織田も無事殺せれば」 @坂本 「そのあとは、この前皆で話し合った通りだ。そうすれば、織田だけじゃなくこの女が死んだことすら、誰も気づくことはない。本物の完全犯罪の完成だよ」 @ほのっぺ 「じゃあ、そのままそこで待ってて、織田が帰ってきたところであいつも殺しちゃえばいいじゃない。どうせ殺すなら、女もそのままにしておけばいいでしょ」 @坂本 「それもこの前話し合っただろ。織田を殺した後、あいつをバラバラにして、奴が生きていた痕跡をすべて消すと。この女も同じだ。どうせバラバラにするなら早いほうがいいだろ」 @ほのっぺ 「確かにそれはそうだけど」 @坂本 「さすがに俺ら二人だけで、明日の夜までにこの女を片付けるのは厳しい。だから、二人も早く来てくれ」 @ほのっぺ 「わかったわよ。30分くらいで着くと思う」 @さとー 「俺も1時間しないくらいでそっちに行けると思う」 @坂本 「わかった。とにかく早く来てくれ」 @芋太郎 「二人とも、本当に僕のせいですいません」 ~1時間後~ 「坂本?芋太郎?どこだ?ほのっぺも、もう着いてんだろ?」 「君がさとーくん?ずいぶん遅かったね」 「あんたがほのっぺか?それで、坂本と芋太郎は?織田の彼女の死体はどこだ?」 「まぁまぁ、そう焦らないで」 「焦るなって、お前この状況ちゃんと理解してんのか!?」 「さとーくん、怒ってるの?やだー、こわーい♡」 「ふざけるのもいい加減にしろよ!坂本と芋太郎はどうした!」 「もー、状況が理解できてないのは、さとーくんのほうだよ♡」 「お前、さっきから何言ってんだ?」 「これはこれは、井岡君じゃないか。久しぶりだね。俺が孤児院を出て以来だから、もう4,5年ぶりかな?」 「織田、、、どうしてお前がここに?」 「お前、本当に馬鹿だな。昔から馬鹿だとは思ってたけど、まさかSNSで殺人の共犯者を募集するなんて、本当にお前ってやつは(笑」 「どういうことだよ?お前は何者なんだ?」 「初めまして!ほのっぺこと、井岡くんの彼女でーす♡」 「お前、最初から俺らを騙してたのか?」 「俺ら?井岡、お前何言ってんだ?」 「坂本はどこだ!芋太郎は!」 「お前は本当にどうしようもないな。そんな奴ら、最初からいないよ」 「どういうことだよ!」 「君は本当にどうしようもないな。坂本も芋太郎も、そんな奴ら最初からいないんだって。俺がアカウントを変えて、坂本と芋太郎のふりをしてただけだよ」 「・・・どうして、どうしてそんなこと」 「SNSで俺のことを殺そうとしてる奴がいるって知ったときは驚いたよ。でも、俺を殺したい奴なんて、心当たりが多すぎて”さとー”ってニックネームじゃ誰かわからなかった。だから、”俺も織田に恨みがある”っていう嘘のDMを送って、共犯者の一人になったってわけ」 「サプラーイズ!まさか、共犯者と思っていた三人のうちの一人が彼女で、他の二人が殺したい相手本人だったなんて、さすがに驚きすぎてもう声も出ないんじゃない?♡」 「まさか、”さとー”が井岡だったとはな。それにしても、本当に久しぶりだな、あの頃は楽しかったな」 「違うんだ、違うんだよ織田君、こんなつもりじゃなかったんだ。僕はただ、、、」 「いいからいいから、そんな怖い顔すんなよ。また昔みたいに俺と遊んでくれよ」 「違うんだ、本当に違うんだ!織田君、ごめんなさい!許してください!許してください!許してください!」 「大丈夫だよ、井岡。ほら、時間はたっぷりあるんだ」
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