運命のつがいと初恋 ③

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「あ、やっ」  抜かれたくなかった。  指がくれた快楽がもう恋しくて腰がひくひく揺れ、後ろは緊縮と弛緩を繰り返している。 「陽向凄いな、随分欲しそうだ」 「ゆび、もういっかい、」  お願い、と頼むとふっと息をついた東園が目の前ですべてを脱ぎ捨てた。  いつも風呂上がりで忙しく、ちらっと視界を横切るだけの肉体をしっかり捉える。  肩幅が広く厚みのある胸板、締まった腹。保健体育で習うαの特徴そのままのαらしい身体だ。  覆い被さって唇にキスをした東園がどこにあったのか片手に持ったコンドームの袋を引き破って「痛かったら教えて」と早口で言った。 「ん? あっ、」  東園は自身にコンドームを装着させ陽向の足を両手で開いた。  あらわになった陽向の後ろにぐっと押し当てられ、息を飲む。  東園に翻弄され陽向はすっかり興奮しているが、東園も勃起するくらいには昂っていたんだと思う。心底ほっとした、東園は自分相手では出来ないかも、とちょっと思っていた。  陽向がぼんやり考えている間に指よりずっと太い、陽向よりずっとたくましいそれがず、ず、ずと孔をいっぱいまで押し広げゆっくりと這い入ってきた。 「あっ、ああああ、や、や、」  溶けて疼いたそこは確かに刺激を欲していたけれど、東園は想像以上に大きくて陽向は息も絶え絶えになる。  苦しい、怖い、壊れる、壊される。  いやいやと首を振り、硬い腹を手で押すけれど、全く効果がなく東園はゆっくりと進んでいく。  止めてくれないのか。  そう思うと涙腺が熱くなり、陽向の手は布団の端を掴み顔に押しつけた。 「陽向、顔が見えないと」 「ふ、ああ、や、む、むり」  布団を引き剥がされ腕で顔を隠す。  無理だというのに抜く気配がない。  これ、まさかこれが、練習? 今のこれが練習だって言ってたのか。 「痛い?」  強い圧迫と今にも裂けそうな皮膚。  痛いと言うより怖いが強いけれど、こくこく頷くとうっすら笑みを浮かべた東園はやっと動きを止めた。   身体を寄せ陽向の目元に何度もキスする。   しかし後ろに埋めたものを抜く気はないらしい。  異物が詰まった感覚。違和感が酷く陽向のなかは無意識にうねってしまう。しかし東園に巻き付きうねるとそれだけ擦れ、その感触が次第に良くなっていく。  下腹がきゅきゅと締まり苦しいままなのに同時に快楽を受けとっている。 「う、うぅ」 「あーだめ、ちょっと動く」 「あっ、……ああ、や、ああぁ」  ぐぐっと押し広げ進んでくる。  まだ先があるの、もう随分奥まで東園に入られているのに。  唸りながら腰を更に押しつけてくる東園にいやいやと首を振る。 「もう全部入るよ」 「ぜん、ぶ、」 「……ちょっと動きたい、いい?」
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