運命のつがいと初恋 ④

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「あ、おはよう」  膝立ちで凛子を撫でていた陽向が見上げると、東園が小声で「身体大丈夫?」と聞いてきた。  今聞くのか、恥ずかしい、など様々な感情で陽向は混雑したが最終的に「だ、いじょうぶ」ともごもご答えた。 「あ、三田村君こんにちは。みんなでご飯食べようよ、デパ地下でいっぱい買ってきたんだ」 「こんにちは。あ、じゃありんちゃんの椅子こっちに作りますね」 「ちょっと馨、お皿持ってきて」 「ああ」  よく考えたらすごくお腹がすいていた。  キッチンに立つ智紀と、複数の紙袋、ビニール袋から中身を取り出す誠二郎の様子を見ると、たった今ここに着いたようだ。三人のコートがソファにかけてある。  陽向はそれをハンガーに掛け、和室に移動してあった凛子用の椅子をセットした。  準備をしている間中、智紀が週末の出来事を話し、誠二郎が相づちを打っている。  二人が凛子を連れて行ったという遊園地は、メジャーな遊園地ではなく、動物園に併設された小規模で幼児向けのものだったらしく、午前中は動物園を楽しみ、午後、その小さな遊園地を楽しんだという。  デパ地下の惣菜がテーブルに並ぶ。様々な食材を合わせたサラダやマリネは色鮮やかだし、フライの盛り合わせは食欲をそそる。  陽向はデパ地下で買い物したことがなく知らなかったが持ち帰り容器に貼り付けてあった品質表示のシールに金額があり、見るとおお、と驚きの声が出るくらいには高かった。  思った以上に美味しい料理に陽向だけじゃなくみな箸が進んでいる。  凛子はお腹がいっぱいになると椅子を飛び出しテレビをつけてとせがんだ。 「凛子、ここのところ朝から晩まで外で遊んでたからなあ、テレビひさびさに見たいよね」  そう言いながら智紀はテレビをつけてやり、録画した番組一覧を見ながらこれがいいの? と凛子に聞いている。  凛子を見守る智紀の優しげな眼差しに愛されてるなあと思う。  食事を終えると誠二郎も凛子に呼ばれ、見て見て、とダンスをはじめた凛子に手拍子を添えている。 「りんちゃん楽しかったみたいで良かったね」  食器を片付けながら東園に話しかけると、流しで皿を流していた東園がリビングに目をやりふっと微笑んだ。 「そうだな。コーヒー飲むか?」  食器を運んだあとテーブルを拭きはじめた陽向は頷く。 「誠二郎さんと智紀さんの分も淹れたら?」 「ああ」  リビングではすっかりリラックスした三人が楽しく遊んでいる。  テーブルを拭いたあと流しで布巾を洗っていると隣に立っていた東園がすっと寄ってきてこめかみにキスをした。
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