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「時期的にはそろそろだけど。今回の薬も駄目だったってことか」
「家から出なければいいんじゃない、薬飲む必要ないだろう」
「そんなわけにいくかよ」
陽向の首筋に鼻を押しつけて「うん、やっぱり匂う」と囁く。
首筋に息が掛かって背が震える。
「とにかく外出は駄目だな。明日には来そうだ」
「そんなに匂うの?」
「ああ」
首筋を舐められてひゃっと声が出る。
東園の舌から逃れようと身体をひねるが、先に腕を回されていて逃げられなかった。
「ちょっと、だめって。あ、そうだ、りんちゃんがもしこのままお母さん達と暮らせるようになったら、僕を雇っている意味なくない?」
「まだ姉さんと暮らすことが実際可能なのか模索中だから、陽向にはここにいて貰わないと困るな。凛子にとって母親と落ち着いて暮らせる環境にいることが一番だとは思うけど、姉さんの回復が最初の一歩だから」
「それはそうだね」
そういえばどうして東園は凛子を引き取ろうと思ったのだろう。
もちろん東園にとっては初の姪で可愛いのも当然だし、境遇も不憫に思ったのだろう。
しかし若い男性が幼子を引き取るというのはなかなかに勇気が要ること、ではないだろうか。
「それに、陽向はまず自分の体調を最優先に考えるべきだろ」
東園の手が陽向の太ももを撫でたあと、パジャマの裾から中へ侵入し、へその上を撫でる。
指先が腹からすっと登って乳首の周りをぐるりと撫で先端を優しくつまんだ。
「んっ」
思わず漏れ出た声を飲みこむように唇を奪われる。
いやらしいことをしたいと全く思っていなかったのに、近づかれ、触られ、キスまでされるともう駄目だ。
唇を離した東園が陽向の身体を弄りながら「上に行く?」と囁く。
もう身体が甘い気分になってしまっていて、断るなんて出来ない。
どうしてこう、すぐにやる気になってしまうのか。自分が情けなく感じるがこれも運命のつがいだからと思えばしょうがない、のだろう。だって運命だから。
東園をひとにらみしたあと陽向は「行く」と答えた。
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