運命のつがいと初恋 ④

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 頭を誰かに揺らされているんじゃないかと思うほどくらくらする。  顔を上げることも出来ず陽向は座り込んだまま二、三度大きく呼吸をした。  しばらくそのまま動かずにいると波が引くようにすうっと眩暈が引いて陽向はゆっくり立ち上がった。  なんだろう。  このあともう少し草取りをして、抜き取った草を片付けたら家に入ろうと思っていたがまた屈んで具合が悪くなってはいけない。  陽向はゆっくりと首を回し眩暈の類いが残っていないか確かめたあと、草のヤマを置いたまま家に引き返した。  いったんソファに座ろうとした陽向だが、ブラウンのワイドパンツがところどころ土で汚れていたのでおそるおそる二階へ移動し自室で着替えを準備した。  今は普通に歩いてみても眩暈も気持ちの悪さもない。  調子が戻ったんだ、陽向はほっとしながらバスルームへ向かった。先ほどの眩暈で嫌な汗を掻いたのでシャワーを浴び、リビングに戻るとちょうど帰ってきた三浦が部屋へ入ってきたところだった。 「おかえりなさい」 「陽向さん、お風呂でしたか?」 「すみません、先にシャワー浴びました。庭で草取りしていたらちょっと土で汚れちゃって。あ、お風呂洗っておきました」 「あらあら、ありがとうございます」  三浦があ、そうそう、といつも持ち歩いているバッグから小さいピンクの折り紙を出した。 「あ、それ、りんちゃんが?」  三浦が差し出した折り紙は桜の形をしていた。角が潰れているし花びらの大きさがなんとなく違うけれど、一生懸命作ってくれたのが分かる。裏の折りあとが二重になっている、何回か折り直しているからだと思う。 「ええ、絢子様が教えて差し上げたって」 「そうなんですか。仲良く出来てるんですね、本当に良かった」  三浦が大きく頷く。 「凛子ちゃんがひーたんに会いたがっていましたよ」 「本当ですかっ、なんだか嬉しい」  可愛らしい桜を見ながら植物のほうの桜もそろそろほころぶ時期になる。その頃凛子は入園だなとまぶしく思う。 「夕飯は生姜焼きの予定です」 「はい」  手伝う前に早咲きの桜を部屋に飾ろう。三浦に断って陽向は軽い足取りで二階へ向かった。
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