運命のつがいと初恋 ④

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 べたべたくっつく陽向をあしらいながら、東園は自分と陽向を洗い、手早くタオルで拭き上げる。  ドライヤーと陽向を抱え二階へ上がった東園は裸の陽向をベッドに座らせ髪を乾かしはじめた。温かい風と髪を混ぜる東園の指が気持ちよい。  普段なら、うとうとしてしまいそうなシチュエーションだがあいにく今の陽向は性欲に支配されている。  背後に裸のαがいればなおのことだ。  したくてしたくて堪らず何度も背後を振り返るがそのたびに「まだ乾ききってないからだめ」とじらされる。  まだ三月初旬、風邪を引かないようにと思ってくれているのは分かるが後ろが疼いて苦しい。風呂場と違ってここは東園の匂いが充満している。 「しかし今回も立派な巣ができたな」 「……す?」  嬉々とした声色の東園が言うには、陽向が発情期に東園の服を集めてしまう理由、それはΩの習性らしい。  個人差があり、しない人もいるらしいから学校の第二性教育にはなく、陽向は母からも聞いたことがなかった。  やっかいな習性だなと思う。  毎回洋服がぐしゃぐしゃになってしまう。    今も東園が床に引き出して積んである。ベッドに置いたままではこれからどれだけ汚れるか。  いつの間にか枕元にコンドームの小箱が複数置いてあった。この分だけはしてもらえるのかなと思うと自然に喉が鳴る。  背後の気配にとうとう陽向の我慢は限界を迎えた。  陽向は足の合間で勃ち、触られるのを待っているそれを柔らかく握った。  ただでさえ息が上がっているのに、そこを上下に擦ると声が漏れてしまう。 「ん、ん……ああ、」 「陽向、我慢できなかった?」  陽向は頷きベッドに片手をついて尻を浮かせた。さっきら後ろがきゅるきゅると動いて自分でも止められない。自慰を止めそこを二指で開く。少しだけ合わさった部分が開き外気が当たる。それだけでも十分に刺激となって、ただでさえほんのり濡れていた後ろからとろりと蜜が零れる。  東園に「ほんとに我慢できない」と震える声で訴える。それに答えをもらう前に、背後から、はぁと大きなため息だ聞こえた。 「駄目?」 「……駄目じゃない」 「い、いま、すぐ挿れて」  陽向の髪を揺らしていた風が止まった。  東園は陽向をベッドの真ん中に引き倒し、うつ伏せに返して腰を引き上げた。 「本当に挿れるぞ」  ベッドに伏せた顔を横にずらして陽向は頷いた。この体勢は初めてだと思う。
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