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さすが女優、というべきか、隠し撮りでも均整の取れた美しいスタイル、華やかな顔立ちで輝いている。並ぶ二人はとてもお似合いに見えた。
記事を読むとモデルから女優に転身した彼女は23歳、Ωという。
「……君、三田村君」
はっと顔を上げると小高がソファに座る陽向の目の前にいた。
ビクッと身体を揺らしてしまって陽向は雑誌を取り落とし、慌てて拾って小さく頭を下げる。
「ごめんね、お待たせして。案内するね」
ニコッと笑いかけ小高は「それ読み途中だったよね、椅子のほうに持って行ったら」と陽向が閉じた週刊誌を取り上げた。
もう読まなくていいのだが小高は陽向の持っていた雑誌と他も数冊抱え先に行ってしまった。
「いつも通りでいいかな」
陽向にクロスを着せながら小高が声を掛ける。
「あ、はい、お願いします」
今日はどう切って貰おうと、少し考えていたのだけどすべて吹っ飛んだ。
小高が切り始め陽向は話に相づちを打ちつつ、もう一度意を決して雑誌を開いた。
写真は並んで歩いているのと女性の腰に手を添えエスコートしている後ろ姿もある。
表紙を見るとやはり半年程前の発行だ。
半年前、ということは陽向と再会する少し前だ。
この記事は真実なのだろうか。
この時期だけ付き合っていたとか?
付き合っている人はいるの、なんて確認したこともなかった。
よく考えればあの容姿ださぞかしモテたことだろう。しかも財閥系の御曹司って。
陽向は勝手に血縁者に大金持ちがいて会社を任されているのかと思っていた、確か昔そういう話を聞いた。しかし実際はその中央にいる立場だったのか。
数ヶ月、陽向は東園と一緒に暮らしているがどうやら知らないことばかりだったようだ。
教えてと言っていないのだから、当然だ。
愛してると言われて気がするし、運命のつがいと言われた。
でも愛している人が複数存在する人もいるだろうし、運命のつがい以外とは付き合えないなんて決まりはない。
どうして東園が纏わり付く相手が自分だけだとなんの違和感もなく信じ込んでいたのだろうか。
知らないだけで、複数のΩと付き合っているんじゃないのだろうか。
陽向なんてその数にも入っていないかも。だって恋人になった記憶はない。
血の気が引く思いで雑誌を閉じ顔を上げる。
鏡には取り立てて特徴のない、平凡な男が写っていた。
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