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「すごいね、さすが幼稚園のお姉さんだね」
「ひーた、見て」
今度は凛子に手を取られ奥のキッチンへと引っ張られた。
「ごめんなさいね。このあいだ一緒に作ったら楽しかったみたいで。それからずっとピザが食べたいって言うのよ」
一緒にキッチンへ入った絢子が凛子を幼児用の踏み台に凛子を乗せた。
壁側に流しやコンロが並び反対側には作業台が広く取られている。
そこにクッキングシートが四枚とその上に形がまちまちのピザ生地が並んでいた。
凛子はお仕事の途中だったらしく、二枚はチーズまで乗っていたが後に二枚はトマトソースが塗ってあるだけ。
凛子はボールに手を入れ掴んだスライスオニオンをトマトソーズの上に散らした。
お次は黄色と赤のパプリカだ。
「りんちゃんすごいね。食べるのが楽しみだ」
凛子はうんと大きく言って、ぱっ、ぱっと握っては散らしていく。
絢子が次はこれを乗せて、とボールを差し出しここが少ないね、と話している。
陽向は楽しそうにしている二人を見ながらほっと息をついた。
良かった、二人は仲良くしているようだ。
見守っている陽向の隣に東園が立つ。
見上げると東園は穏やかな眼差しで二人を眺めていた。
凛子のピザに、智紀の作ったサラダやスープ、フライドチキンが並ぶ昼食が終わると、凛子は早速遊びはじめた。
入園祝いに陽向が渡したピンクのウィンドブレーカーがとても気に入ったらしく、凛子は着てみる、と袖を通したあと頑なに脱がないのでそのままだ。
最初の遊びは、陽向に「お部屋」の紹介する、だった。
凛子に引っ張られながら、いいのかなと智紀に目を向けた。
他所様のお宅で部屋を見回るなんて、陽向は覗きのようで心配になったのだが、智紀は笑ってうんうんと頷くだけだった。
凛子に案内され陽向は凛子の部屋、続いて隣の物置部屋に入った。
凛子は色々なものを、例えば新しいぬいぐるみ、昔ママが作ったパズル、など、たくさんの大事なものを陽向に紹介してくれた。
ただ、凛子の入っていい「お部屋」は限られているようで、「ここは知らないお部屋」、「ここはじいじの大事なお部屋」と入ってはいけない部屋はちゃんとスルーしていたので、陽向は胸を撫で下ろした。
ただ、次に見せてくれた風呂の広さには驚いた。
四、五人は一緒に入れそうだ。
ジャグジー風呂だろうか、浴槽にシルバーの穴が見えた。清掃が行き届いた浴室の隅に凛子のおもちゃが纏められていてきっと風呂も楽しんでいるのだろうと想像できた。
「お部屋」探検のあとはお庭紹介を予定していたらしく、凛子はまたも陽向の手を引いて外に出ようとする。
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