運命のつがいと初恋 ①

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 脱衣場にバスタオル、パッケージに入った紺のパジャマと下着が準備してあった。  いつ置きに来たのだろう、全く気が付かなかった。  東園の言った通り、本当に新品だ。  包みを手に取ったが開くのに躊躇ってしまう。だってファッションに疎い陽向でも知っているハイブランドのロゴが入っているから。買って返さないといけないだろうけど、いくらくらいのものだろう。光沢のある生地を見ていると頭が痛くなってきた。  別に、布団を用意してもらって寝る、普通の「お泊まり」ではないのだから今まで着ていた服でもいい気がする。  そうは思ったものの準備をしてくれた東園の労力を無視も出来ない。陽向は仕方なく着替えを始めた。  リビングに戻ると東園はキッチンに立ち鍋をかき回していた。さっきは点いていなかったTVもついている。  録画していたのだろう朝の幼児番組をソファに座った凛子がぼんやり見ていて、その頬は赤い。  陽向が風呂に行っている間に凛子は起きて来たらしい。陽向はキッチンの東園に顔を向けた。 「お風呂先にいただきました。凛子ちゃん起きたんだね。お熱計った?」 「ああ、まだ高いよ。食欲はないだろうけど、少しは食べさせないとな」 「そうだね」  東園がかき回しているのはお粥のようだ。陽向はソファの凛子の横にそろっと座った。 「凛子ちゃん、お父さんがお粥温かくしてくれているよ。他になにか食べたいものあるかな?」  凛子は赤い顔を陽向に向け、小さく首を降った。胸に抱いた猫のぬいぐるみをぎゅっと抱き締めている。 「ふにふにが出てきたね。ランブーとピリリンも。凛子ちゃんはどの子が好きかな?」  幼児番組にちょうど三匹のきぐるみキャラクターが出てきた。番組もエンディングに差し掛かかっている。三びきのキャラクターが番組テーマソングに合わせて踊り、それからバイバイする流れだ。 「りんちゃん、ランブー」 「そうか、ランブー可愛いよね」  凛子は嬉しそうに目を細めて猫のぬいぐるみに顔を埋めた。 「あ、そうだ。ちょっと待っててね」  確か紙袋に折紙を入れたはず。紙袋の中からピンクの折紙を引き抜き縦半分に折り開く。以前ネットで調べた折り方でランブ-を作ったら子ども達に好評だった。折り方自体は簡単なので、ものの1分もかからず折り上げた。後は目を書き入れるだけ。  陽向はテーブルにおかゆとスプーンを置いていた東園にペンを借りて目を入れた。  大きな瞳にバサバサのまつげ、可愛い声の持ち主のランブ-は女の子に人気のキャラクターだ。陽向は黒く塗りつぶした縦長の丸にまつげをちょんちょんとつけてゆく。我ながらいい出来だ。
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