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食器を食洗機に入れて稼働させ、凛子の部屋の片付けに向かう。
二階には五部屋あり、凛子の部屋は東園の隣だ。
コーラルピンク地に刺繍のマーガレットが散ったカーテンをまとめ窓を開く。
十二月の風は冷たく、陽向はもこもこパーカーの前を閉めた。
ベッドは幼児用ではなくダブルベッド。枕もシーツ、ベッドカバーに至るまでコーラルピンク地に花柄で女の子が好みそうな可愛らしいベッドに仕上がっている。
最初見たとき、さすがに大きすぎないかなと思ったけれど、凛子が寝るとき必ず絵本を読んでほしがるので一緒に寝転んで読み聞かせるにはちょうどいい。きっと高価なベッドなのだろう、身体を横たえたときの沈み具合が絶妙だ。だからつい読んでいる間に一緒に寝てしまう、そこが唯一の欠点かもしれない。
掛け布団、枕を整えて、昨晩読んだ絵本を本棚に片付ける。
作り付けの本棚に絵本や児童書がずらっと並べてある。おもちゃもラックや子供用タンスの上のコンテナにぎっしり詰まっている。
凛子の部屋が終わると陽向が借りている部屋も整える。
東園の部屋は掃除しなくていいとのことなので通り過ぎ、凛子のパジャマを洗濯籠に入れる。洗濯は三浦の仕事だそうだ。そろそろかなと思ったら玄関チャイムが鳴り三浦が到着した。
「おはようございます」
「おはようございます。陽向さん、コーヒーでもいかがですか?」
「ありがとうございます、頂きます」
到着するなりキッチンに入った三浦はソファでニュースを見ていた陽向に声を掛ける。
「そうそう、昨日のパウンドケーキもありますよ」
「あ、朝しっかり食べちゃったからコーヒーだけで大丈夫です」
三浦は家政婦というより近い親戚のようで、来てまず陽向と一緒にコーヒーを飲む。
二人でニュースの話題や晩の凛子や東園の様子など他愛のない話をするのが日々のルーティンだ。陽向にとっては他愛ない話でも三浦には大切なことのようで、陽向の話で晩ご飯のメニューを決めることもあると言っていた。
「そういえば今日もりんちゃん泣かなかったんですよ」
「あらあ、すごいですね。だいぶ慣れてきたのかしら」
「昨日寝るときにみか先生がいるといいなって言ってました。みか先生って若い先生って言ってましたよね?」
「そうそう、陽向さん達より二、三歳下かしら。私をおばあちゃんと間違えた先生よ」
うふふと三浦が笑う。
慣らしも今日で五回目だ、最初泣いて行きたくないと玄関でぐずり陽向から離れなかった凛子だが前回から泣かず家を出られるようになった。
行きは東園担当だがあんまり泣くと大変だろうと思い陽向もついて行こうかと提案したのだが、玄関で泣く凛子は車から東園と幼稚園に入るときは泣かず、お利口にしているらしい。東園が陽向が行くと多分泣くだろう、と言うので心配だが陽向は玄関までだ。
三浦はお迎えの時、いろいろと園の情報を収集してきてくれるので陽向も凛子の話を理解しやすく本当にありがたい。
「みか先生、なかなかやりますね。どんな接し方されているか見てみたいです」
「このまま凛子ちゃんの担任になってくれるといいんですけど、そうしたら陽向さんも保護者会で会えるかもしれないですよね」
身内でもないのに保護者会に出席するのはどうだろうと苦笑いする。
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