運命のつがいと初恋 ②

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「あ、ありがとう、ごめん。りんちゃんのご飯、」 「大丈夫だ。後でまた見に来るから。きつかったら呼んでくれ」  屈んで陽向の顔を見ていた東園は陽向の髪を撫でたあと、部屋から出て行った。  布団の中で横になっているにもかかわらず、陽向の息は上がる一方だ。身体の中が異様に熱く感じるけれど、なぜか手足は今、冷えている。東園に抱えられたときは脳が溶けていくような感覚だったのに、今は腹の奥が熱くて苦しい。 「あ」  横向きに体勢を変えてみると陽向の前が下着に擦れ身体が跳ねる。  え、まさか、と思い下着の上から触れてみると硬く勃ち上がっていてざっと血の気が引く。どうしてこんなことになったのか分からないけれどこの身体の熱さはもしかして、と思うが信じたくない。  一度擦れるとその刺激がもう一度欲しくなり陽向は声が出ないよう布団で口を押さえながら何度も腰を揺らした。 「ん、んん、」  擦れるだけでは物足らなくて陽向は下着へ指を滑らせた。  触れてみて、その硬さ、熱さに驚き一撫でして指が引っ込む。  抑制剤を服用しているせいか、性欲自体が薄く自分の身体がこんな風になるのを初めて知った。普段はごくたまに夢精している位だ。  硬く腫れ上がっていて、怖い。これは陽向の普通じゃない、普通じゃないのは恐ろしい。でも、擦りたくて堪らない。さっきから尻の奥も熱く知らず知らずに締緩を繰り返している。 「うう、ん、」  これは、これが、多分発情なのだろう。  初めて経験する陽向でも確かに分かる、だって触りたくて堪らない。前も後ろも、どうにかしたくてもどかしい。  これ以上は我慢できない、やるしかない。思春期に自分もしてみたくて緩んだ前を無理矢理こすったことがあるので、その時のようにしてみればいいと思う。意を決して記憶通り強く握ると、握った瞬間、陽向の身体は大きく震えた。 「ああ、」  みっともない、聞き苦しい甘い声を上げ、陽向は握っただけで達してしまった。下着を汚してしまった。泣きたいくらい自分に失望しているのに、陽向の前は欲を吐き出してもまだ硬く勃ち上がったままだ。  これは、何度も出さないといけないのか、そういうものなのか。落ち込みながらも疼く身体をそのままにしておけない。じわりと目尻に溜まる涙を拭って陽向はまた下着の中に手を入れた。ちょうどその時こんこんと控えめに扉を叩く音がした。 「陽向、大丈夫か? 入るぞ」  がちゃっと金属音がして扉が少し開いた。 「だっ、だめっ、絶対だめっ。入らないで、絶対入らないで」 「でも、」  急いで下着から手を抜き布団を頭までかぶる。  こんなところを他人に見られるのはなんとしても避けたい。
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