運命のつがいと初恋 ②

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「や、やめろっ、やめろよ」 「もう我慢が出来ないよ。君が誘ってくれたときから早くつながりたいって思っていたんだ。君もだろう」 「は、誘ってなんかない、ちがうっ」 「そんな匂いを垂れ流してかい? うちのは俺と同じαだからつまらなくてね。やっぱりΩは違うなあ、この卑猥な匂いは本能にくるね。Ωもだろ?」  ベルトの次はワークパンツのボタンに指をかける。足をばたつかせるとまた頬をはたかれた。 「ふ、ふざけるなっ、さわるなっ」  ずるりとワークパンツを足から抜かれ、すぐに膝上に乗られる。下着の上から萎縮している性器を撫でられぐっと喉が鳴る。 「俺にやられたくて堪らないんだろう。ここは使わないのにあるんだなあ。小さくて可愛らしい」 「いやだ、い、いや、」  まだ信じられないし、そうだと思いたくないけれど、今の状況で、この男に犯されない可能性はかなり低い。  初めてなのに、初めてするのに、レイプかよ。  泣きたくなるほど悔しいけれど、もう半分諦めはじめている。少しの間我慢していれば死ぬまでのことはない、はずだ。  涙がにじむ視界をぎゅっと閉じた。  なにも知らない、なにも見ない、なにも感じない。  唇をかみしめて今死守しなければならないのはこいつにうなじを咬まれることだと言い聞かせる。うなじを咬まれたらこんな男と番になってしまう。  それだけは絶対にさせてはならない。  陽向の抵抗が止んだのをいいことに男は下着に指を差し入れ、ゆっくりとずらしていく。  太もも、膝、ふくらはぎ、下着が徐々に脱がされてゆく。陽向は怖くてひゅっと息を飲んだ。  足首に下着が来たとき、男の手が止まった。それからなんのアクションもないのでそっと目を開くと男が玄関をにらみつけている。  陽向の頭の位置からは玄関が見えないが、かすかにとんとんと扉を叩く音が聞こえた。 「た、……たすけ、たすけてっ、だれか、ぐっ」  喉が張り付いて上手く声が出ないが、陽向は精一杯叫んだ。玄関扉の向こうに人がいる。身じろぎするが声を上げた途端殴打され、枕で口を塞がれた。 「五月蠅い、黙れ」 「ん、ぐう、」  息が出来ない。苦しい、苦しい。手足をばたつかせ渾身の力で動くが枕は鼻と口を塞いだまま。  苦しい、もう、駄目かも。
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