運命のつがいと初恋 ③

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 三浦を見送り入浴後、陽向はソファでうとうとしていた。  三浦の作ったシチューは美味しかったし、    ゆっくり風呂につかって身体はほかほかだ。欲していたすべてが今、満たされている、そんな感じだ。  遠くにテレビから流れる近頃よく耳にする音楽が聞こえる。  眠る直前の心地よさ。  意識がとろとろになってゆく。  いつしかテレビの音声が遠ざかり、近くにあったブルーのクッションを抱き締めごろんとソファに寝転がった。  ちょっとだけ。すぐ起きるから。  ガチャンと物音がして、陽向の目がぱちんと開いた。  ソファから飛び起きると「ああ、ごめん。うるさかったな」とキッチンから声がした。  目を擦って顔を向けるとすっかりリラックスムードの東園が流しの前に立っている。  体格に恵まれていると、スウェット姿でも様になるからうらやましい。  陽向が伸びをすると、背後から「陽向も飲む?」と聞かれて振り向いた。東園はビールの缶を持ち上げて見せた。 「うん。いつ帰ったの? 気が付かなかった」 「二時間前、かな」 「そんなに前! ごめん、もう夜食べたよね?」 「疲れてたんだろ、今日は色々あったからな」  キッチンに入ると流しに食器が重ねてあった。  本当は陽向が食事の準備する予定だったのに、寝てしまった。  ミックスナッツの缶から皿に流し込む東園の横でせめて片付けくらいと、陽向は食洗機を開く。入れるだけだけど隣で「ありがとう」と機嫌良く言う東園に、「それどこのビール?」と聞いた。  ナッツの準備が終わった東園は見たことのないビール缶のプルトップを指で引っかけていた。 「どこかな、頂き物のクラフトビールなんだ。フルーティな味わい、らしいぞ」  黄色にウサギのイラストが入った缶を持ち上げて東園が読み上げる。 「フルーティ? 普通のビールしか飲んだことないからちょっと楽しみ」  ガラスのタンブラーに注ぐ東園の手元を見ているが、色は普通のビールと変わりない。 「飲んでみよう、乾杯」 「乾杯」  キッチンで立ったままの試飲となった。  口に含んだ瞬間爽やかな柑橘の香りと酸っぱさを感じる。普通のビールよりすっきり軽いのどごしだった。隣を見るとぐっとあおったタンブラーの残りが1㎝程度になっていて驚く。 「爽やかだね」 「ああ、俺は普通のが好きかな」 「そう? すっきりしてていいんじゃない」 さあ座ろう、と促され対面で座る。  リモコンでテレビをつけ、ニュースを見ながらテーブルの真ん中に置いたナッツをつまむ。 「陽向と飲むのは初めてだな」 「そうだね、外では飲まないから」 「どうして?」 「飲むって言っても缶ビール一本くらいしか飲めないから」 「そうか」  タンブラーの残りを飲んだ東園はCMでよく見るビールを出してつぎ足している。
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