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「フィオ、アズは大丈夫そうか?」
「何が?」
夜になって部屋に帰ってきたローレルが心配そうに訊ねる。
「……かなりドジっ子だと聞いている」
「ププッ、ドジっ子っていくつだよ」
「今年二十二だったか」
少し考えて、ローレルが答える。
「俺より年下だと思ってた」
衝撃の事実だった。声がする場所からしてもオメガの男性の標準身長のレフィより低い。てっきり十代だと思っていた。
「まぁ見た目は未成年だな。でもそれは言わないでやってくれ。アズは、辛い目に合って成長が止まったと聞いている」
ローレルの声に苦渋の色が見えて、もちろんだと頷いた。
「あんたの周りにはそんな奴ばっかりなんだな。キリカも……」
ローレルも助けたとキリカが言っていた。
「キリカが自分で喋ったのか? そうか……。フィオは、キリカの信頼を得たんだな」
嬉しそうにローレルが言ったが、レフィは違うと思っている。
「あんたはおめでたい。信頼とかじゃない。オメガは皆、他人事じゃないだけだ」
キリカのことも、アズのことも他人事ではない。今はローレルがいて護られているけれど、レフィの母の様にレフィの父、番を亡くした後に大変な思いをすることだってある。
「そうかもしれないが、大変だからこそ周りが目に入らないこともある。差し伸べられた手が見えないことも。フィオは優しい」
「優しくない。俺はまだあんたを許してないし、番だなんて認めてない」
ローレルが微かに笑った気配がした。
「何がおかしいんだよ!」
「許されたいとは思っていない。でも番だと認めてないというのは容認できないなと思っただけだ」
ローレルは怒りもしない。それがレフィにとっては謎であり、もどかしいことでもあった。
「容認できなかったらどうするんだ? 鎖で繋ぐか? それともこれ以上嫌なことを言わないように舌でも切るか?」
ローレルがそんなことをするはずがないと思っているのに、言いながら背中が震える。怯えているのを悟られたくなかった。ローレルを傷つけるかもしれないと思って虚勢をはっているのに、ローレルに触れている手が冷たくなっていく。
「そんな事はしない。フィオ……」
手がローレルの頬に押しつけられて、じんわりと温かくなっていく。
「ローレル……」
「でもね、自分が誰の番かは教えないと。フィオ、今日は眠らせてあげられないかもしれない」
レフィは、いつの間にかローレルの逆鱗に触れていたのだと遅まきながらも気付いた。
「んぅ――、あっ! ローレル……ッ」
「フィオの身体は素直なのに……」
口付けられながら胸を指先で引っ張られた。
「痛っ!」
「前はこんな風に指で摘まめるほど大きくなかったのにね」
誰のせいだと言いたくても、口の中で暴れるローレルの舌に阻まれる。レフィは息をするのも一杯一杯になりながらローレルの舌を軽く噛んだ。
「んっ、悪い子だ」
驚いて口を離したローレルはレフィの耳に囁きかけて、そのまま耳の中に舌を突っ込んだ。
「んんっ! あ……ゾクゾクする――」
「フィオは耳が敏感だからね」
準備が簡単に出来上がってしまうオメガの身体を呪う。触られてもいないのに蕩けているレフィの蕾にローレルは指を押し込む。迷いなくレフィのいいところを指の腹で内部から優しく撫でて、跳ねた身体を押さえながら番の証を舐めた。
「やぁああん! ン、うぅ――」
それだけで激しく達ってしまう。ガクガクと震えてローレルの指を離したくないと貪欲にむさぼろうとする身体をなだめるようにローレルが証以外の部分も唇と歯で口づけた。そのたびに身体は痙攣するように震えた。
「フィオ……、可愛い」
クッションにもたれるローレルの腹の上に乗せられ、これからどうされるかレフィは気づいた。
「ローレル……この体勢、好きじゃなっ、あ……んっ」
導かれるまま腰を下ろすと、ローレルの張り詰めたペニスが少しずつレフィの内部に飲み込まれていった。多少の苦しさがあってもすぐに馴染むことはもう身体が知っている。尻がローレルに触れた瞬間、レフィは前から快楽の証しを飛ばした。
「フィオ、感じすぎるから嫌なのか?」
まだ挿れただけなのに、二度も気をやってしまった。はぁはぁと呼吸音でしか返事ができない。
興奮気味なローレルの声に、レフィの中が蠢いて絡みつく。
「あっ! や、やだぁ……! 今、達ってるから、動かないで――」
ガクガクと震えるレフィの身体をローレルは下から突き上げた。一度目の快楽に浸りたいレフィを無理矢理もっと極上の悦びへと押し上げていく。
身体はとうの昔にローレルの番として作り替えられていた。ローレルを受け入れ、悦びに満ちていくのを感じながらレフィは脳裏にエルネストの顔を思い浮かべた。快楽がすぎると意識が混濁するのか、エルネストに抱かれているような錯覚を覚えることがある。
「にぃ……さま……っ」
中にいるローレルが大きくなって弾ける。その後、予告通り意識がなくなるまで貪られた。
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